分散分析、因子実験、乱塊法、直交表など統計検定準1級レベルの実験計画法を学習します。
問題はここに
分散分析で群間に有意差が認められた後、どの群間に具体的な差があるかを調べる手法です。Tukey法は全ての対比較を同時に行いながら、第1種過誤率を制御します。
複数の群を対象とした分析では、多重性の問題により第1種過誤率が増大します。TukeyのHSD検定は、全ての対比較で全体の第1種過誤率をα以下に制御します。
Step 1: 問題設定の確認
処理 | 平均 | 標本サイズ |
---|---|---|
A | 15.2 | 5 |
B | 18.6 | 5 |
C | 21.4 | 5 |
D | 16.8 | 5 |
Step 2: TukeyのHSD統計量の公式
等サイズの場合のHSD値:
ここで:
Step 3: スチューデント化レンジ分布の臨界値
$q_{0.05,4,16} = 4.05$(統計表より)
$k$個の独立な正規分布から得られる標本の最大値と最小値の差を標準誤差で割った分布です。Tukey検定の理論的基礎となります。
Step 4: HSD値の計算
小数第2位まで:2.81
Step 5: 全ての対比較の実施
平均値の差がHSD値を超える場合に有意差ありと判定:
比較 | 平均差 | |平均差| | 判定 |
---|---|---|---|
C vs A | 21.4 - 15.2 = 6.2 | 6.2 | 有意(6.2 > 2.81) |
C vs D | 21.4 - 16.8 = 4.6 | 4.6 | 有意(4.6 > 2.81) |
C vs B | 21.4 - 18.6 = 2.8 | 2.8 | 有意でない(2.8 < 2.81) |
B vs A | 18.6 - 15.2 = 3.4 | 3.4 | 有意(3.4 > 2.81) |
D vs A | 16.8 - 15.2 = 1.6 | 1.6 | 有意でない(1.6 < 2.81) |
B vs D | 18.6 - 16.8 = 1.8 | 1.8 | 有意でない(1.8 < 2.81) |
有意な差が認められる組み合わせ:
群の順位:C ≥ B ≥ D ≥ A
Step 6: 等質サブグループの特定
重複する群を持つ同質グループ:
4つの肥料処理の比較結果:
実用的推奨:肥料CとBが推奨される
検定法 | 特徴 | 使用場面 |
---|---|---|
Tukey HSD | 全ての対比較、第1種過誤率制御 | 探索的分析、等サンプルサイズ |
Bonferroni | より保守的、計画比較 | 少数の特定比較 |
Scheffé | 最も保守的、すべての対比に対応 | 複雑な対比較 |
Dunnett | 対照群との比較 | 1つの対照群vs複数処理群 |