実験計画法

分散分析、因子実験、乱塊法、直交表など統計検定準1級レベルの実験計画法を学習します。

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直交配列による効率的な要因実験

直交配列は、多数の要因を少ない実験回数で効率的に評価する実験計画法です。L8配列では3つの要因をそれぞれ2水準で8回の実験により分析できます。

直交配列の利点

効率性:完全実施計画では2³=8回必要ですが、L8配列でも同じ情報を得られます。各要因の主効果を直交性により独立に推定できます。

Step 1: データの整理

実験番号要因A要因B要因C応答値
111118
211222
312120
412224
521116
621218
722114
822216

Step 2: 要因Aの水準別データの分離

A=1の場合(水準1):

  • 実験1: 応答値 = 18
  • 実験2: 応答値 = 22
  • 実験3: 応答値 = 20
  • 実験4: 応答値 = 24

A=1の平均:$\bar{y}_{A1} = \frac{18 + 22 + 20 + 24}{4} = \frac{84}{4} = 21.0$

A=2の場合(水準2):

  • 実験5: 応答値 = 16
  • 実験6: 応答値 = 18
  • 実験7: 応答値 = 14
  • 実験8: 応答値 = 16

A=2の平均:$\bar{y}_{A2} = \frac{16 + 18 + 14 + 16}{4} = \frac{64}{4} = 16.0$

Step 3: 要因Aの主効果の計算

主効果は2つの水準の平均の差として定義されます:

$$\text{主効果}_A = \bar{y}_{A2} - \bar{y}_{A1} = 16.0 - 21.0 = -4.0$$

小数第1位まで:-4.0

主効果の解釈

  • 負の値:要因Aが水準1から水準2に変化すると応答値が減少
  • 絶対値の大きさ:|4.0|は比較的大きな効果を示す
  • 実用的意味:要因Aの水準1の方が水準2より4.0単位優れている

Step 4: 他の要因の主効果も確認

要因Bの主効果:

  • B=1の平均:$\frac{18+22+16+18}{4} = \frac{74}{4} = 18.5$
  • B=2の平均:$\frac{20+24+14+16}{4} = \frac{74}{4} = 18.5$
  • 主効果B = 18.5 - 18.5 = 0.0

要因Cの主効果:

  • C=1の平均:$\frac{18+20+16+14}{4} = \frac{68}{4} = 17.0$
  • C=2の平均:$\frac{22+24+18+16}{4} = \frac{80}{4} = 20.0$
  • 主効果C = 20.0 - 17.0 = 3.0

Step 5: 直交性の確認

L8配列の直交性により、各要因の効果は独立に推定されます:

要因水準1平均水準2平均主効果重要度
A21.016.0-4.0
B18.518.50.0なし
C17.020.0+3.0

結果の統合解釈

  • 最重要要因:要因A(効果= -4.0)
  • 次重要要因:要因C(効果= +3.0)
  • 無関係要因:要因B(効果= 0.0)
  • 最適条件:A=1, C=2(Bは任意)で最大応答値期待

直交配列L8の構造と特性

Step 6: L8配列の完全な構造

実験番号列1列2列3列4列5列6列7
11111111
21112222
31221122
41222211
52121212
62122121
72211221
82212112

この例では列1→A、列2→B、列3→Cを割り当てています。

直交配列の選択基準

配列実験数要因数上限水準数用途
L8(2⁷)872多要因スクリーニング
L9(3⁴)9433水準要因実験
L16(2¹⁵)16152大規模スクリーニング
L27(3¹³)27133複雑な3水準実験

実際の応用における考慮事項

  • 交互作用の扱い:主効果と交互作用が交絡する可能性
  • 割り付け戦略:重要な要因を主列に配置
  • 繰り返し実験:誤差の推定と信頼性向上
  • 確認実験:最適条件での検証実験

工業実験での典型的な活用

  • 品質改善:製品特性に影響する要因の特定
  • プロセス最適化:製造条件の最適化
  • 原価削減:コスト要因の影響度評価
  • ロバスト設計:外乱に強い設計の探索
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