実験計画法

分散分析、因子実験、乱塊法、直交表など統計検定準1級レベルの実験計画法を学習します。

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解説
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フィッシャーの3原則

R.A.フィッシャーが提唱した実験計画法の基本的な3つの原則で、信頼性の高い実験を行うための根幹となる考え方です。

フィッシャーの3原則

1. 反復(Replication)
2. 無作為化(Randomization)
3. 局所管理(Local Control)

各原則の詳細説明

1. 反復(Replication)

  • 定義:同一条件での実験を複数回実施すること
  • 目的:実験誤差の推定と統計的検定を可能にする
  • 効果:偶然変動の影響を軽減し、結果の信頼性を高める
  • 注意点:真の反復と疑似反復を区別する必要がある

2. 無作為化(Randomization)

  • 定義:処理の割り当てを偶然に委ねること
  • 目的:系統的バイアスを除去し、統計的推論を正当化する
  • 効果:既知・未知の交絡因子の影響を均等化する
  • 方法:乱数表、コンピュータによる無作為配列

3. 局所管理(Local Control / Blocking)

  • 定義:実験条件を均質化し、既知の変動要因を制御すること
  • 目的:実験誤差を減少させ、処理効果の検出力を向上させる
  • 効果:比較の精度を高め、より敏感な検定を可能にする
  • 方法:ブロック化、共変量による調整

3原則の相互関係

原則主な効果統計的意義実践上の注意
反復推定精度向上標準誤差の算出真の反復の確保
無作為化バイアス除去検定の妥当性完全な無作為化
局所管理誤差減少検出力向上適切なブロック設定

実験計画への応用例

例:新薬の効果検証実験

反復

  • 各治療群に十分な数の患者を配置
  • 最低限必要なサンプルサイズを事前計算

無作為化

  • 患者を新薬群と対照群にランダムに割り当て
  • 医師の主観的判断を排除

局所管理

  • 年齢、性別、重症度でブロック化
  • 病院間の差異を考慮した層別化

選択肢の検討

選択肢A:反復、無作為化、局所管理

  • 正解:フィッシャーの3原則そのもの
  • 実験計画法の基礎理論として確立

選択肢B:対照、盲検、プラセボ

  • 臨床試験の重要要素だが、フィッシャーの3原則ではない
  • バイアス制御の手法

選択肢C:標準化、最適化、検証

  • 品質管理や工程改善の概念
  • 実験計画法の原則ではない

選択肢D:分層、集塊、系統抽出

  • 標本抽出法の分類
  • 実験計画法ではなく調査計画法

現代的拡張と応用

原則の現代的解釈

  • 反復:生物学的反復 vs 技術的反復の区別
  • 無作為化:制限付き無作為化、適応的無作為化
  • 局所管理:共変量調整、マッチング

実験計画法の発展

時代発展主要概念
1920年代フィッシャーの3原則基本的実験計画
1940年代要因実験法交互作用の解析
1950年代最適計画法効率性の追求
現代適応的実験ベイズ的アプローチ

実践での注意点

よくある失敗例

  • 疑似反復:同一個体からの複数測定を独立と誤認
  • 不完全な無作為化:便宜的割り当て
  • 過度のブロック化:自由度の過度な減少

統計ソフトでの実装

各原則を統計ソフトで実装する方法:

  • Rsample(), randomizrパッケージ
  • SASPROC PLAN
  • SPSSRANDOM SAMPLE機能

現代の課題

大データ時代の実験計画

  • オンライン実験:A/Bテストでの3原則適用
  • 観察研究:因果推論での準実験的手法
  • 機械学習:アルゴリズム評価での実験計画
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