実験計画法

分散分析、因子実験、乱塊法、直交表など統計検定準1級レベルの実験計画法を学習します。

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解説
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二元配置分散分析における交互作用の解釈

二元配置分散分析では、2つの要因の主効果と交互作用を同時に検定できます。交互作用の有意性は、要因間の関係性を理解する上で重要な指標となります。

交互作用の意味

交互作用なし:各要因の効果が独立(加法的効果)
交互作用あり:一方の要因の効果が、他方の要因の水準によって変化(乗法的効果)

分散分析表の読み方

Step 1: 各効果の検定結果

効果F値p値有意性(α=0.05)判定
要因A8.750.002p < 0.05有意
要因B12.380.003p < 0.05有意
A×B交互作用3.320.065p > 0.05非有意

Step 2: 交互作用の解釈

  • p値 = 0.065 > 0.05:統計的に有意でない
  • 結論:要因Aと要因Bの効果は独立(加法的)
  • 意味:一方の要因の効果は、他方の要因の水準に関係なく一定

交互作用の統計的検定

Step 3: F検定の詳細

$$F_{交互作用} = \frac{MS_{A \times B}}{MS_{error}} = \frac{22.90}{6.88} = 3.32$$

自由度:

  • 分子:df(A×B) = df(A) × df(B) = 2 × 1 = 2
  • 分母:df(error) = 24

臨界値:

$$F_{0.05}(2, 24) = 3.40$$

判定:

$$F_{観測} = 3.32 < F_{臨界} = 3.40$$

したがって交互作用は有意でない(p = 0.065 > 0.05)

主効果の解釈

Step 4: 要因Aの主効果

  • F値:8.75, p値:0.002
  • 判定:高度に有意(p < 0.01)
  • 意味:要因Aの水準間に明確な差がある

Step 5: 要因Bの主効果

  • F値:12.38, p値:0.003
  • 判定:高度に有意(p < 0.01)
  • 意味:要因Bの水準間に明確な差がある

効果サイズの評価

Step 6: 偏イータ二乗の計算

要因A:

$$\eta_p^2(A) = \frac{SS_A}{SS_A + SS_{error}} = \frac{120.5}{120.5 + 165.0} = \frac{120.5}{285.5} = 0.422$$

要因B:

$$\eta_p^2(B) = \frac{SS_B}{SS_B + SS_{error}} = \frac{85.3}{85.3 + 165.0} = \frac{85.3}{250.3} = 0.341$$

交互作用A×B:

$$\eta_p^2(A \times B) = \frac{SS_{A \times B}}{SS_{A \times B} + SS_{error}} = \frac{45.8}{45.8 + 165.0} = \frac{45.8}{210.8} = 0.217$$

効果サイズの判定基準

効果η²ₚ効果サイズ実用的重要性
要因A0.422大(>0.14)高い
要因B0.341大(>0.14)高い
A×B交互作用0.217大(>0.14)統計的には非有意だが効果サイズは中程度

選択肢の詳細検討

選択肢A:交互作用は有意であり、要因は独立ではない

  • 誤り:p = 0.065 > 0.05 で非有意
  • 統計的有意性の判定を誤っている

選択肢B:交互作用は有意でなく、要因は独立である

  • 正解:p = 0.065 > 0.05 で非有意
  • 要因の効果が加法的であることを正しく示している

選択肢C:要因Aのみが有意

  • 誤り:要因Bも有意(p = 0.003 < 0.05)
  • 両方の主効果が有意であることを見落としている

選択肢D:すべての効果が有意

  • 誤り:交互作用は非有意
  • 統計的判定の基準を正しく適用していない

実際の研究での解釈

交互作用非有意時の解釈手順

  1. 加法モデルの採用:要因の効果が独立
  2. 主効果の解釈:各要因の効果を個別に検討
  3. 平均値の比較:多重比較による水準間差の検定
  4. 効果サイズの報告:実用的重要性の評価

研究デザインの考慮事項

Step 7: サンプルサイズと検出力

交互作用の検出には主効果より大きなサンプルサイズが必要:

  • 現在のサンプルサイズ:N = 30
  • 交互作用のp値:0.065(境界的)
  • 効果サイズ:η²ₚ = 0.217(中程度〜大)
  • 考察:サンプルサイズが少し大きければ有意になった可能性

結果の報告例

論文での報告例:

「二元配置分散分析の結果、要因A(F(2,24) = 8.75, p = 0.002, η²ₚ = 0.422)および要因B(F(1,24) = 12.38, p = 0.003, η²ₚ = 0.341)の主効果が有意であった。一方、A×B交互作用は有意でなかった(F(2,24) = 3.32, p = 0.065, η²ₚ = 0.217)。したがって、両要因の効果は独立(加法的)であると解釈される。」

交互作用のパターン

交互作用の種類

パターン特徴グラフの形状解釈
序数的交互作用順序は保持平行でない直線効果の大きさが変化
逆序的交互作用順序が逆転交差する直線効果の方向が変化
交互作用なし平行線平行な直線加法的効果

統計ソフトでの実行

  • Raov(Y ~ A * B)
  • SPSS:「一般線形モデル」→「一元配置」
  • SASPROC GLM
  • Pythonstatsmodels.stats.anova

実践的な考慮事項

交互作用の検討における注意点

  • 検出力:交互作用の検出には大きなサンプルサイズが必要
  • 効果サイズ:統計的有意性と実用的重要性の区別
  • 多重比較:事後検定における多重性の調整
  • グラフ化:交互作用プロットによる視覚的確認
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