最尤法、モーメント法、不偏性、一致性、十分性、有効性、区間推定など統計検定準1級レベルの推定理論
ガンマ分布$\text{Gamma}(\alpha, \beta)$(形状パラメータ$\alpha$、尺度パラメータ$\beta$)からの標本$X_1, \ldots, X_n$について、モーメント法による$\alpha$の推定量はどれか。ただし、$E[X] = \alpha\beta$、$\text{Var}(X) = \alpha\beta^2$である。
モーメント法は、理論的モーメントと標本モーメントを等しくおいて未知パラメータを推定する方法です。$k$個のパラメータを持つ分布に対して、$k$個のモーメント方程式を設定します。
ガンマ分布$\text{Gamma}(\alpha, \beta)$の確率密度関数は:
ここで$\alpha > 0$は形状パラメータ、$\beta > 0$は尺度パラメータです。
Step 1: 理論的モーメントの導出
ガンマ分布の第1次および第2次モーメント:
したがって分散は:
Step 2: モーメント方程式の設定
理論的モーメントと標本モーメントを等しくおきます:
ここで$S^2$は標本分散(不偏分散または偏差分散のいずれでも可)です。
Step 3: パラメータの解法
方程式(2)を方程式(1)で割ると:
この結果を方程式(1)に代入:
Step 4: 尺度パラメータの推定量
同様に、$\beta$の推定量は:
一致性:
大数の強法則により、$\bar{X} \xrightarrow{a.s.} \alpha\beta$、$S^2 \xrightarrow{a.s.} \alpha\beta^2$なので、連続写像定理により:
漸近正規性:
デルタ法により、$\hat{\alpha}$は漸近正規分布に従います。
効率性:
一般に最尤推定量より効率が劣りますが、計算が簡単で実用的です。
Step 5: 最尤推定量
ガンマ分布の最尤推定量は解析的に求まらず、数値的方法が必要です:
ここで$\psi(\cdot)$はディガンマ関数です。
| 推定法 | 計算の容易さ | 効率性 | 実用性 |
|---|---|---|---|
| モーメント法 | 簡単 | 中程度 | 高い |
| 最尤法 | 困難(数値計算) | 高い | 中程度 |
Step 6: 変分係数との関係
ガンマ分布の変分係数は:
したがって:
これは標本変分係数の逆数の二乗として解釈できます。
したがって、モーメント法による$\alpha$の推定量は$\hat{\alpha} = \frac{\bar{X}^2}{S^2}$です。