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時系列解析

ARIMAモデル、状態空間モデル、スペクトル解析、単位根検定など、時系列データの高度な分析手法

定常性の基本概念 レベル1

時系列の定常性について、正しい記述はどれか。

解説

時系列解析の基礎:定常性の理論と実践

定常性

定常性は時系列解析において最も基本的な概念です。多くの時系列モデル(ARIMA、GARCH等)は定常性を前提としており、非定常時系列に対しては適切な前処理が必要となります。

定常性の数学的定義

Step 1: 強定常性

時系列$\{X_t\}$が強定常性を満たすとは、任意の時点$t_1, t_2, \ldots, t_k$と任意のラグ$h$に対して:

$F(x_1, x_2, \ldots, x_k; t_1, t_2, \ldots, t_k) = F(x_1, x_2, \ldots, x_k; t_1+h, t_2+h, \ldots, t_k+h)$

すなわち、同時分布が時間シフトに対して不変であることを意味します。

Step 2: 弱定常性(2次定常性)

実際の分析では、より緩い条件である弱定常性が用いられます:

弱定常性の3条件
  1. 平均の時間不変性:$E[X_t] = \mu$ (定数)
  2. 分散の時間不変性:$\text{Var}(X_t) = \sigma^2$ (定数)
  3. 自己共分散の時間不変性:$\text{Cov}(X_t, X_{t+h}) = \gamma(h)$ (ラグ$h$のみに依存)

非定常性のパターンと識別

Step 3: 主要な非定常性のタイプ

非定常性のタイプ特徴対処法
トレンド平均が時間とともに変化差分、トレンド除去
季節性周期的な変動パターン季節差分、季節調整
分散変化ボラティリティの時間変化対数変換、GARCH
構造変化統計的性質の急激な変化構造変化検定、分割分析

定常性の検定手法

Step 4: 統計的検定による定常性の判定

主要な定常性検定
  • Augmented Dickey-Fuller (ADF) 検定
    • 帰無仮説:単位根が存在(非定常)
    • 対立仮説:定常
    • 検定統計量:$\tau = \frac{\hat{\gamma}}{SE(\hat{\gamma})}$
  • KPSS検定
    • 帰無仮説:定常
    • 対立仮説:単位根が存在
    • ADF検定と補完的に使用
  • Phillips-Perron検定
    • 系列相関に対してより頑健
    • ノンパラメトリック補正

定常化の手法

Step 5: データ変換による定常化

1. 差分変換

$\nabla X_t = X_t - X_{t-1} \quad \text{(1次差分)}$
$\nabla^2 X_t = \nabla X_t - \nabla X_{t-1} \quad \text{(2次差分)}$

2. 季節差分

$\nabla_s X_t = X_t - X_{t-s} \quad \text{(季節ラグ$s$での差分)}$

3. 対数変換

$Y_t = \log X_t \quad \text{(分散安定化)}$

4. Box-Cox変換

$Y_t = \begin{cases} \frac{X_t^\lambda - 1}{\lambda} & \text{if } \lambda \neq 0 \\ \log X_t & \text{if } \lambda = 0 \end{cases}$

定常性と時系列モデリング

Step 6: モデル選択への影響

  • 定常時系列:AR、MA、ARMAモデルが適用可能
  • 非定常時系列:ARIMAモデル、共和分分析が必要
  • 季節性あり:SARIMAモデル、状態空間モデル
  • 分散変化:GARCHファミリーモデル
定常性判定の手順
  1. 視覚的確認:時系列プロット、ACF/PACFプロット
  2. 記述統計:移動平均・移動分散の計算
  3. 統計的検定:ADF検定、KPSS検定の実施
  4. 変換の適用:必要に応じて差分・対数変換
  5. 再検定:変換後の定常性確認

したがって、正解は「平均、分散、自己共分散が時間に依存しない性質」です。これは弱定常性の定義そのものであり、時系列解析の基礎となる概念です。

問題 1/20
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