歪度(skewness)と尖度(kurtosis)に関する問題です。
1. 歪度(skewness)の定義と特徴
歪度は、確率分布の非対称性を測る指標です。数学的には、標準化した3次モーメントとして定義されます:
$\text{歪度} = E\left[\left(\frac{X-\mu}{\sigma}\right)^3\right] = \frac{E[(X-\mu)^3]}{\sigma^3}$
歪度の特徴:
- 歪度 = 0:分布は完全に対称(例:正規分布)
- 歪度 > 0:分布は右に裾が長い(正の歪み)
- 歪度 < 0:分布は左に裾が長い(負の歪み)
2. 尖度(kurtosis)の定義と特徴
尖度は、確率分布の裾の重さや中心への集中度を測る指標です。数学的には、標準化した4次モーメントとして定義されます:
$\text{尖度} = E\left[\left(\frac{X-\mu}{\sigma}\right)^4\right] = \frac{E[(X-\mu)^4]}{\sigma^4}$
尖度の特徴:
- 正規分布の尖度は3
- 尖度 > 3:分布は正規分布より尖っており、裾が重い(重裾分布)
- 尖度 < 3:分布は正規分布より平坦で、裾が軽い(軽裾分布)
注:統計ソフトウェアによっては、「超過尖度」(excess kurtosis = 尖度 - 3)を報告することがあります。この場合、正規分布の超過尖度は0となります。
3. 選択肢の検討
各選択肢を検討します:
選択肢1:「歪度が正の場合、分布は左に裾が長い」
誤りです。歪度が正の場合、分布は右に裾が長くなります(正の歪み)。
選択肢2:「尖度が高いほど、分布の裾は薄くなる」
誤りです。尖度が高いほど、分布の裾は重くなります(外れ値が出やすくなる)。
選択肢3:「正規分布の歪度は0、尖度は3である」
部分的に正しいですが注意が必要です。正規分布は完全に対称なので歪度は0です。尖度に関しては、統計学では正規分布の尖度を 0 とすることがあります(excess kurtosis を用いる場合)。
選択肢4:「歪度は分布の対称性、尖度は分布の中心への集中度を表す」
正しいです。歪度は分布の非対称性(対称からのずれ)を測り、尖度は分布の中心への集中度や裾の重さを表します。
選択肢5:「歪度と尖度はともに、分布の散らばりを表す指標である」
誤りです。分布の散らばりを表す指標は分散や標準偏差です。歪度は対称性、尖度は中心への集中度や裾の重さを表します。
歪度と尖度の重要性:
- 歪度と尖度は、データの分布の形状を記述するのに役立ちます。
- 多くの統計的手法は、データが正規分布に従うことを仮定しています。歪度と尖度を調べることで、この仮定の妥当性を評価できます。
- 金融分析では、リターン分布の歪度と尖度はリスク評価に重要です。負の歪みと高い尖度は、大きな損失が発生するリスクが高いことを示します。
- データ変換(対数変換、Box-Cox変換など)を選択する際に、歪度と尖度の情報が役立ちます。
選択肢3と4は両方とも正しい記述ですが、選択肢3は正規分布に関する具体的な事実を述べているのに対し、選択肢4は歪度と尖度の一般的な意味を説明しています。問題の趣旨から、より一般的な説明である選択肢4が最も適切な回答と考えられます。
したがって、正解は「歪度は分布の対称性、尖度は分布の中心への集中度を表す」です。