解答と解説を表示
<p>正規分布の標準化を用いた確率計算の問題です。</p><p class='step'>1. 正規分布の標準化</p><p>確率変数 $X$ が平均 $\mu$、標準偏差 $\sigma$ の正規分布 $N(\mu, \sigma^2)$ に従うとき、標準化変数 $Z = \frac{X - \mu}{\sigma}$ は標準正規分布 $N(0, 1)$ に従います。</p><p>標準正規分布の確率は標準正規分布表を用いて求めることができます。</p><p class='step'>2. 問題の設定</p><p>この問題では:</p><ul><li>$X \sim N(\mu = 50, \sigma^2 = 10^2)$:$X$ は平均 $\mu = 50$、標準偏差 $\sigma = 10$ の正規分布に従う</li><li>求めるのは $P(X > 65)$:$X$ が65より大きくなる確率</li></ul><p class='step'>3. 標準化と確率の計算</p><p>まず、$X > 65$ を標準化します:</p><p class='formula'>\begin{align}P(X > 65) &= P\left(\frac{X - \mu}{\sigma} > \frac{65 - 50}{10}\right) \\
&= P(Z > 1.5)\end{align}</p><p>標準正規分布の性質から:</p><p class='formula'>
\begin{align}
P(Z > 1.5) &= 1 - P(Z \leq 1.5) \\
&= 1 - \Phi(1.5)\end{align}</p><p>ここで、$\Phi(z)$ は標準正規分布の累積分布関数です。</p><p>標準正規分布表から $\Phi(1.5) \approx 0.9332$ なので:</p><p class='formula'>\begin{align}P(Z > 1.5) &= 1 - 0.9332 \\
&= 0.0668 \approx 0.067
\end{align}
</p><p class='note'>正規分布は自然界や社会現象の多くをモデル化するのに適した分布です。中心極限定理により、独立した多数の確率変数の和は、元の分布に関わらず、近似的に正規分布に従うことが知られています。</p><p>正規分布の確率計算では、標準化して標準正規分布に変換することが基本的なアプローチです。標準正規分布の確率は、統計ソフトウェアや関数電卓、あるいは標準正規分布表を用いて求めることができます。</p><p>また、正規分布の68-95-99.7ルールも覚えておくと便利です:</p>
<ul>
<li>平均から標準偏差の±1倍の範囲に約68%のデータが含まれる</li>
<li>平均から標準偏差の±2倍の範囲に約95%のデータが含まれる</li>
<li>平均から標準偏差の±3倍の範囲に約99.7%のデータが含まれる</li>
</ul><p>したがって、平均 $\mu = 50$、標準偏差 $\sigma = 10$ の正規分布において、$X > 65$ となる確率は約0.067(小数第3位まで)です。</p>