<p>二項分布の正規近似に関する問題です。</p><p class='step'>1. 二項分布の正規近似</p>
<p>パラメータ $n$ と $p$ の二項分布 $B(n, p)$ は、$n$ が十分大きいとき、平均 $np$ と分散 $np(1-p)$ の正規分布 $N(np, np(1-p))$ で近似できます。これは中心極限定理の応用です。</p><p>連続修正(連続性の補正)を適用すると、より良い近似が得られます。具体的には、二項確率 $P(X \leq k)$ を計算する場合、正規分布の累積分布関数 $\Phi$ を用いて以下のように近似します:</p>
<p class='formula'>$P(X \leq k) \approx \Phi\left(\frac{k + 0.5 - np}{\sqrt{np(1-p)}}\right)
lt;/p><p>ここで、$k + 0.5$ の部分が連続修正です。</p><p class='step'>2. 問題の設定</p>
<p>この問題では:</p>
<ul>
<li>コインを投げる回数:$n = 100
lt;/li>
<li>表が出る確率:$p = 0.5$(公平なコインの場合)</li>
<li>求める確率:$P(X \leq 45)$(表が45回以下出る確率)</li>
</ul><p class='step'>3. 正規近似の適用</p>
<p>二項分布 $B(100, 0.5)$ の平均と分散は:</p>
<p class='formula'>
\begin{align}
\mu &= np = 100 \times 0.5 = 50 \\
\sigma^2 &= np(1-p) = 100 \times 0.5 \times 0.5 = 25 \\
\sigma &= \sqrt{25} = 5
\end{align}
</p><p>連続修正を適用して、$P(X \leq 45)$ を計算します:</p>
<p class='formula'>
\begin{align}
P(X \leq 45) &\approx \Phi\left(\frac{45 + 0.5 - 50}{5}\right) \\
&= \Phi\left(\frac{-4.5}{5}\right) \\
&= \Phi(-0.9) \\
&= 1 - \Phi(0.9) \\
&= 1 - 0.8159 \\
&= 0.1841
\end{align}
</p><p class='note'>二項分布の正規近似の精度と適用条件:</p>
<ul>
<li>一般的に、$np > 5$ かつ $n(1-p) > 5$ の場合に正規近似が良い精度を持つとされています。</li>
<li>連続修正を適用することで、離散分布である二項分布を連続分布である正規分布で近似する際の誤差を減らすことができます。</li>
<li>$p$ が0.5に近いほど、また $n$ が大きいほど、近似の精度は向上します。</li>
<li>正確な値が必要な場合は、二項分布の確率質量関数を直接計算するか、統計ソフトウェアを使用することが推奨されます。</li>
</ul><p>この問題では、$n = 100$ と $p = 0.5$ なので、$np = 50 > 5$ かつ $n(1-p) = 50 > 5$ となり、正規近似の条件を満たしています。