<p>ポアソン分布の性質に関する問題です。</p><p class='step'>1. ポアソン分布の定義</p>
<p>ポアソン分布は、単位時間(または空間)あたりの事象の発生回数を表す離散確率分布です。パラメータ $\lambda$ は単位時間あたりの平均発生回数を表します。</p><p>確率質量関数は以下のように定義されます:</p>
<p class='formula'>$P(X = k) = \frac{\lambda^k e^{-\lambda}}{k!}$($k = 0, 1, 2, \ldots$)</p><p>ポアソン分布の期待値と分散はともに $\lambda$ です:</p>
<p class='formula'>$E(X) = Var(X) = \lambda
lt;/p><p class='step'>2. 問題の設定</p>
<p>この問題では:</p>
<ul>
<li>1日あたりの平均客数:$\lambda = 20
lt;/li>
<li>求める確率:$P(X \geq 25)$(1日に25人以上の客が来る確率)</li>
</ul><p class='step'>3. 確率の計算</p>
<p>$P(X \geq 25)$ を直接計算するのは煩雑なので、余事象を利用します:</p>
<p class='formula'>$P(X \geq 25) = 1 - P(X \leq 24) = 1 - \sum_{k=0}^{24} P(X = k)
lt;/p><p>各 $P(X = k)$ はポアソン分布の確率質量関数を用いて計算できます:</p>
<p class='formula'>$P(X = k) = \frac{20^k e^{-20}}{k!}
lt;/p><p>しかし、$k = 0$ から $k = 24$ までの確率を一つずつ計算して合計するのは手間がかかります。</p><p class='step'>4. 正規近似の利用</p>
<p>$\lambda$ が大きい場合(一般的に $\lambda > 10$ とされる)、ポアソン分布は平均 $\lambda$ と分散 $\lambda$ の正規分布で近似できます。</p><p>連続修正を適用すると、$P(X \geq 25)$ は以下のように近似できます:</p>
<p class='formula'>
\begin{align}
P(X \geq 25) &= P(X > 24.5) \\
&\approx 1 - \Phi\left(\frac{24.5 - 20}{\sqrt{20}}\right) \\
&= 1 - \Phi\left(\frac{4.5}{4.47}\right) \\
&= 1 - \Phi(1.006) \\
&= 1 - 0.8428 \\
&= 0.1572
\end{align}
</p><p class='note'>ポアソン分布の特徴と応用:</p>
<ul>
<li>ポアソン分布は、発生率が一定で、事象が互いに独立に発生する場合のモデルとして適しています。</li>
<li>応用例:1時間あたりの電話の着信数、一定面積あたりの植物の個体数、一定時間内の放射性崩壊の回数など。</li>
<li>ポアソン分布は二項分布の極限として導出できます。$n \to \infty$, $p \to 0$ かつ $np = \lambda$ が一定のとき、二項分布 $B(n, p)$ はポアソン分布 $Poi(\lambda)$ に収束します。</li>
<li>ポアソン過程では、事象間の時間間隔は指数分布に従います。</li>
<li>複数のポアソン分布の和もポアソン分布になります。パラメータ $\lambda_1$ と $\lambda_2$ の2つのポアソン分布の和は、パラメータ $\lambda_1 + \lambda_2$ のポアソン分布になります。</li>
</ul></p>