<p>正規分布の標準化に関する問題です。</p><p class='step'>1. 正規分布の標準化</p>
<p>平均 $\mu$、標準偏差 $\sigma$ の正規分布 $N(\mu, \sigma^2)$ に従う確率変数 $X$ があるとき、標準化変数 $Z = \frac{X - \mu}{\sigma}$ は標準正規分布 $N(0, 1)$ に従います。</p><p>この性質を利用すると、任意の正規分布の確率計算を標準正規分布の確率計算に帰着させることができます:</p>
<p class='formula'>$P(X \leq a) = P\left(Z \leq \frac{a - \mu}{\sigma}\right) = \Phi\left(\frac{a - \mu}{\sigma}\right)
lt;/p><p>ここで、$\Phi(z)$ は標準正規分布の累積分布関数です。</p><p class='step'>2. 問題の設定</p>
<p>この問題では:</p>
<ul>
<li>身長の平均:$\mu = 170$ cm</li>
<li>身長の標準偏差:$\sigma = 6$ cm</li>
<li>求める確率:$P(X \geq 180)$(身長が180cm以上の学生の割合)</li>
</ul><p class='step'>3. 確率の計算</p>
<p>まず、$X \geq 180$ を標準化します:</p>
<p class='formula'>
\begin{align}
P(X \geq 180) &= P\left(Z \geq \frac{180 - 170}{6}\right) \\
&= P(Z \geq 1.67) \\
&= 1 - P(Z \leq 1.67) \\
&= 1 - \Phi(1.67)
\end{align}
</p><p>標準正規分布表または計算ツールを用いて、$\Phi(1.67) \approx 0.9525$ を得ます。</p><p>したがって:</p>
<p class='formula'>
\begin{align}
P(X \geq 180) &= 1 - 0.9525 \\
&= 0.0475 \\
&\approx 0.048
\end{align}
</p><p class='step'>4. 正規分布の性質</p>
<p>正規分布には以下のような重要な性質があります:</p>
<ul>
<li>対称性:平均値を中心に左右対称</li>
<li>68-95-99.7ルール:データの約68%は平均から±1標準偏差の範囲内、約95%は±2標準偏差の範囲内、約99.7%は±3標準偏差の範囲内に含まれる</li>
<li>加法性:独立な正規分布に従う確率変数の和も正規分布に従う</li>
<li>再生性:正規分布の線形変換も正規分布になる</li>
</ul><p class='note'>正規分布の応用と重要性:</p>
<ul>
<li>正規分布は、自然界や社会現象の多くをモデル化するのに適しています(身長、体重、テストの得点、測定誤差など)。</li>
<li>中心極限定理により、独立な確率変数の和(または平均)は、元の分布に関わらず、サンプルサイズが大きくなるにつれて正規分布に近づきます。</li>
<li>多くの統計的手法(t検定、分散分析、回帰分析など)は、データが正規分布に従うという仮定に基づいています。</li>
<li>正規分布は、確率論や統計学の基礎となる分布です。</li>
</ul>