<p>t分布を用いた母平均の信頼区間に関する問題です。</p><p class='step'>1. 母平均の信頼区間</p>
<p>正規母集団から得られた標本に基づいて母平均 $\mu$ の信頼区間を構成する方法は、母分散 $\sigma^2$ が既知か未知かによって異なります。</p><p>母分散が既知の場合は、標準正規分布(Z分布)を用いますが、母分散が未知の場合は、t分布を用います。この問題では母分散が未知なので、t分布を使用します。</p><p>母平均 $\mu$ の $(1-\alpha) \times 100\%$ 信頼区間は以下のように表されます:</p>
<p class='formula'>$\bar{x} \pm t_{n-1, \alpha/2} \frac{s}{\sqrt{n}}
lt;/p><p>ここで、$\bar{x}$ は標本平均、$s$ は標本標準偏差、$n$ は標本サイズ、$t_{n-1, \alpha/2}$ は自由度 $n-1$ のt分布の上側 $\alpha/2$ 点です。</p><p class='step'>2. 問題の設定</p>
<p>この問題では:</p>
<ul>
<li>標本サイズ:$n = 16
lt;/li>
<li>標本平均:$\bar{x} = 42
lt;/li>
<li>標本標準偏差:$s = 8
lt;/li>
<li>信頼水準:$1 - \alpha = 0.95$(95%信頼区間)</li>
</ul><p class='step'>3. 信頼区間の計算</p>
<p>自由度は $n - 1 = 16 - 1 = 15$ です。</p><p>95%信頼区間なので、$\alpha = 0.05$ であり、$\alpha/2 = 0.025$ です。</p><p>t分布表または計算ツールを用いて、$t_{15, 0.025} \approx 2.131$ を得ます。</p><p>標準誤差は:</p>
<p class='formula'>$\frac{s}{\sqrt{n}} = \frac{8}{\sqrt{16}} = \frac{8}{4} = 2
lt;/p><p>したがって、95%信頼区間は:</p>
<p class='formula'>
\begin{align}
\bar{x} \pm t_{n-1, \alpha/2} \frac{s}{\sqrt{n}} &= 42 \pm 2.131 \times 2 \\
&= 42 \pm 4.262 \\
&= [37.738, 46.262]
\end{align}
</p><p class='step'>4. 信頼区間の解釈</p>
<p>95%信頼区間 $[37.7, 46.3]$ は、「同じ方法で多数の標本を取り、それぞれから信頼区間を構成した場合、その約95%が真の母平均 $\mu$ を含む」ことを意味します。</p><p>別の言い方をすると、この特定の信頼区間が真の母平均を含む確率は95%ではなく、0か1のどちらかです(含むか含まないかのどちらか)。95%という数値は、長期的な頻度を表しています。</p><p class='note'>t分布と信頼区間の特徴:</p>
<ul>
<li>t分布は、標本サイズが小さく母分散が未知の場合に、正規分布の代わりに使用される確率分布です。</li>
<li>t分布は標準正規分布よりも裾が重く、自由度が大きくなるにつれて標準正規分布に近づきます。</li>
<li>信頼区間の幅は、信頼水準が高いほど広くなります(例:99%信頼区間は95%信頼区間よりも広い)。</li>
<li>信頼区間の幅は、標本サイズが大きいほど狭くなります($n$ が大きいほど標準誤差 $s/\sqrt{n}$ は小さくなる)。</li>
<li>信頼区間の幅は、標本の変動(標本標準偏差 $s$)が大きいほど広くなります。</li>
</ul>