<p>0から1の間の値(割合、確率など)をモデル化するのに柔軟性の高いベータ分布について、パラメータと分布形状の関係、特に一様分布となる条件を問う問題です。</p>
<div class='key-point'>
<p><strong>ベータ分布の多様な形状と特殊ケース</strong></p>
<p>ベータ分布は、2つの正の形状パラメータ $\alpha$ と $\beta$ によって、U字型、釣鐘型、J字型、一様分布など、非常に多様な形状を取ることができます。特に、$\alpha = 1$ かつ $\beta = 1$ のとき、[0, 1] 区間の一様分布と一致します。</p>
</div>
<p class='step'>1. ベータ分布とは</p>
<p>ベータ分布は、区間 [0, 1] で定義される連続確率分布で、主に確率や割合、比率などの0から1の値を取る量をモデル化するのに用いられます。確率密度関数は、2つの正のパラメータ $\alpha$ と $\beta$ を用いて以下のように表されます。</p>
<p class='formula'>$f(x; \alpha, \beta) = \frac{1}{B(\alpha, \beta)} x^{\alpha-1} (1-x)^{\beta-1}, \quad 0 \leq x \leq 1
lt;/p>
<p>ここで、$B(\alpha, \beta) = \frac{\Gamma(\alpha)\Gamma(\beta)}{\Gamma(\alpha+\beta)}$ はベータ関数($\Gamma$はガンマ関数)です。</p>
<p>平均は $\frac{\alpha}{\alpha+\beta}$、最頻値(モード)は $\frac{\alpha-1}{\alpha+\beta-2}$ (ただし $\alpha, \beta > 1$) で与えられます。</p><p class='step'>2. パラメータ $\alpha, \beta$ と分布形状</p>
<p>$\alpha$ と $\beta$ の値によって、ベータ分布は様々な形状をとります。</p>
<ul>
<li><strong>$\alpha = 1, \beta = 1
lt;/strong>:$f(x) = x^{1-1}(1-x)^{1-1} = x^0 (1-x)^0 = 1$ (0 ≤ x ≤ 1)。これは区間 [0, 1] の<strong>一様分布</strong>です。$B(1,1)=1$。</li>
<li><strong>$\alpha < 1, \beta < 1
lt;/strong>:U字型(両端で確率密度が高い)。例:$\alpha=0.5, \beta=0.5$ の場合、逆正弦分布(Arcsin distribution)と呼ばれる。</li>
<li><strong>$\alpha = 1, \beta > 1
lt;/strong>:右に歪んだJ字型(x=0で最大)。</li>
<li><strong>$\alpha > 1, \beta = 1
lt;/strong>:左に歪んだ逆J字型(x=1で最大)。</li>
<li><strong>$\alpha > 1, \beta > 1
lt;/strong>:単峰型(釣鐘型に近い)。$\alpha = \beta$ なら左右対称。$\alpha > \beta$なら左に偏り、$\alpha < \beta$なら右に偏る。</li>
</ul><p class='step'>3. 各選択肢の検討</p>
<ul>
<li>「α = 1, β = 1」:このとき、確率密度関数は $f(x)=1$ (0 ≤ x ≤ 1) となり、[0, 1] 上の一様分布と一致します。正しい。</li>
<li>「α → ∞, β → ∞ (α/β が一定値c)」:この場合、ベータ分布は平均 $\frac{\alpha}{\alpha+\beta} \approx \frac{c}{c+1}$ 付近に集中する正規分布に近似していきます(点推定のような挙動)。一様分布ではありません。</li>
<li>「α = 0.5, β = 0.5」:U字型の分布(逆正弦分布)になります。一様分布ではありません。</li>
<li>「α = 2, β = 2」:左右対称な単峰型(上に凸の放物線に近い形)になります。一様分布ではありません。</li>
<li>「α = 1, β → ∞」:x=0に確率が非常に集中した分布になります。一様分布ではありません。</li>
</ul>
<p class='note'>ベイズ統計における利用</p>
<p>ベータ分布は、二項分布のパラメータp(成功確率)の共役事前分布としてベイズ統計学でよく用いられます。事前知識をベータ分布で表現し、観測データ(二項分布からのサンプル)を得ることで、事後分布もベータ分布となり、計算が容易になります。</p>