標本平均の分布の性質と、中心極限定理の基本的な適用を理解しているかを問う問題です。
標本平均の分布と中心極限定理
母集団がどのような分布であっても(平均$\mu$, 標準偏差$\sigma$が存在すれば)、標本サイズnが十分に大きいとき、標本平均$\bar{X}$の分布は以下の性質を持ちます。
- 標本平均の平均 $E[\bar{X}] = \mu$ (母平均に等しい)
- 標本平均の標準偏差 $SD[\bar{X}] = \frac{\sigma}{\sqrt{n}}$ (標準誤差と呼ばれる)
- 中心極限定理により、標本平均$\bar{X}$の分布は近似的に正規分布 $N(\mu, \frac{\sigma^2}{n})$ に従う。
1. 標本平均の平均の計算
標本平均 $\bar{X}$ の期待値(平均)は、母平均 $\mu$ に等しくなります。
$E[\bar{X}] = \mu$
与えられた情報より、母平均 $\mu = 60$ です。したがって、
$E[\bar{X}] = 60$
2. 標本平均の標準偏差の計算
標本平均 $\bar{X}$ の標準偏差は、母標準偏差 $\sigma$ を標本サイズ n の平方根で割ったものになります。
$SD[\bar{X}] = SE(\bar{X}) = \frac{\sigma}{\sqrt{n}}$
与えられた情報より、母標準偏差 $\sigma = 15$、標本サイズ $n = 100$ です。したがって、
$SE(\bar{X}) = \frac{15}{\sqrt{100}} = \frac{15}{10} = 1.5$
3. 中心極限定理による近似分布
中心極限定理 (Central Limit Theorem, CLT) によれば、母集団がどのような分布に従っていても(有限な平均と分散を持つ限り)、標本サイズnが十分に大きい場合(一般的に $n \geq 30$ が目安とされる)、標本平均 $\bar{X}$ の分布は近似的に正規分布に従います。
その正規分布のパラメータは、
- 平均: $\mu$ (上記で計算した $E[\bar{X}]$)
- 分散: $\frac{\sigma^2}{n}$ (上記で計算した $SE(\bar{X})$ の二乗)
となります。
したがって、この場合の標本平均 $\bar{X}$ は、平均60、分散 $(1.5)^2 = 2.25$ の正規分布 $N(60, 2.25)$ に近似的に従うと考えられます。
中心極限定理の重要性
中心極限定理は、母集団の分布が未知であっても、標本平均の分布について議論できるという点で、統計的推測(推定や仮説検定)において重要な役割を果たします。多くの統計手法が、標本平均が正規分布に従うことを前提としているのは、この定理のおかげです。