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推定編

点推定の基礎、区間推定の考え方、母平均の区間推定、母比率・母分散の区間推定に関する問題

点推定量の性質 レベル2

点推定量の望ましい性質として、不適切なものはどれか。

解説

点推定量の望ましい性質には、以下のようなものがあります:

1. 一致性(Consistency)

標本サイズが大きくなるにつれて、推定量が母数に確率収束する性質です。数学的には、標本サイズ $n$ が無限大に近づくとき、推定量 $\hat{\theta}$ が母数 $\theta$ に確率収束することを意味します:

$\lim_{n \to \infty} P(|\hat{\theta} - \theta| < \varepsilon) = 1 \quad \text{for any } \varepsilon > 0$

2. 不偏性(Unbiasedness)

推定量の期待値が母数に等しい性質です。つまり、推定量 $\hat{\theta}$ について:

$E(\hat{\theta}) = \theta$

3. 有効性(Efficiency)

不偏推定量の中で分散が最小である性質です。クラメール・ラオの不等式によれば、正則条件下での不偏推定量の分散には下限(クラメール・ラオ下限)があります。不偏推定量の中で分散が最小のものを最小分散不偏推定量(MVUE)と呼びます。下限に達する不偏推定量(有効推定量)は必ずMVUEですが、下限に達する不偏推定量が存在しない場合でもMVUEは存在しうるため、MVUEが必ず下限に達するとは限りません。

4. 頑健性(Robustness)

外れ値の影響を受けにくい性質です。例えば、中央値は平均値よりも外れ値に対して頑健です。

5. 十分性(Sufficiency)

推定量が標本から得られるすべての情報を含んでいる性質です。十分統計量は、与えられたデータから母数に関するすべての情報を抽出します。

選択肢5の「単調性:標本の値が増加すると推定量も必ず増加する性質」は、点推定量の一般的な望ましい性質としては挙げられていません。実際、多くの場合、推定量は標本の複雑な関数であり、単純な単調関係を持つとは限りません。例えば、分散の推定量は標本値の二乗和に基づいており、単調性を持ちません。

したがって、点推定量の望ましい性質として不適切なものは「単調性:標本の値が増加すると推定量も必ず増加する性質」です。

問題 1/20
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