<p>母分散の区間推定に関する問題です。</p><p class='step'>1. 母分散の信頼区間の基本</p><p>正規母集団から得られた標本に基づいて母分散 $\sigma^2$ の信頼区間を構成する方法として、カイ二乗分布を用いる方法があります。</p><p>母分散 $\sigma^2$ の $(1-\alpha) \times 100\%$ 信頼区間は以下のように表されます:</p><p class='formula'>$\left[\frac{(n-1)s^2}{\chi^2_{n-1, \alpha/2}}, \frac{(n-1)s^2}{\chi^2_{n-1, 1-\alpha/2}}\right]
lt;/p><p>ここで、$s^2$ は標本分散、$n$ は標本サイズ、$\chi^2_{n-1, \alpha/2}$ は自由度 $n-1$ のカイ二乗分布の上側 $\alpha/2$ 点、$\chi^2_{n-1, 1-\alpha/2}$ は自由度 $n-1$ のカイ二乗分布の上側 $1-\alpha/2$ 点(下側 $\alpha/2$ 点)です。</p><p class='step'>2. 問題の設定</p><p>この問題では:</p><ul><li>標本平均:$\bar{x} = 10.2$ mm(この問題では使用しません)</li><li>標本分散:$s^2 = 0.16$ mm²</li><li>標本サイズ:$n = 20
lt;/li><li>信頼水準:$1 - \alpha = 0.95$(95%信頼区間)</li></ul><p class='step'>3. 信頼区間の計算</p><p>自由度は $n - 1 = 20 - 1 = 19$ です。</p><p>95%信頼区間なので、$\alpha = 0.05$ であり、$\alpha/2 = 0.025$ です。</p><p>カイ二乗分布表または計算ツールを用いて、以下の値を得ます:</p><p class='formula'>\begin{align}\chi^2_{19, 0.025} &\approx 32.852 \\
\chi^2_{19, 0.975} &\approx 8.907
\end{align}</p><p>したがって、95%信頼区間は:</p><p class='formula'>\begin{align}\left[\frac{(n-1)s^2}{\chi^2_{n-1, \alpha/2}}, \frac{(n-1)s^2}{\chi^2_{n-1, 1-\alpha/2}}\right] &= \left[\frac{19 \times 0.16}{32.852}, \frac{19 \times 0.16}{8.907}\right] \\
&= \left[\frac{3.04}{32.852}, \frac{3.04}{8.907}\right] \\
&= [0.0925, 0.3413]\end{align}</p><p>小数第3位まで四捨五入すると、$[0.093, 0.341]$ となります。</p><p class='step'>4. 信頼区間の解釈</p><p>95%信頼区間 $[0.093, 0.341]$ は、「同じ方法で多数の標本を取り、それぞれから信頼区間を構成した場合、その約95%が真の母分散 $\sigma^2$ を含む」ことを意味します。</p><p>別の言い方をすると、この特定の信頼区間が真の母分散を含む確率は95%ではなく、0か1のどちらかです(含むか含まないかのどちらか)。95%という数値は、長期的な頻度を表しています。</p><p class='note'>母分散の信頼区間の特徴と注意点:</p><ul><li>母分散の信頼区間は、母平均の信頼区間と異なり、対称ではありません。これは、カイ二乗分布が非対称であるためです。</li><li>母分散の信頼区間は、標本サイズが大きいほど狭くなります。</li><li>母分散の信頼区間は、母集団が正規分布に従うという仮定に基づいています。この仮定が満たされない場合、信頼区間は不正確になる可能性があります。</li><li>母分散の信頼区間から、母標準偏差 $\sigma$ の信頼区間を得るには、信頼区間の両端の平方根を取ります。</li><li>母分散の検定(例:カイ二乗検定)は、母分散の信頼区間と密接に関連しています。</li></ul>