推定編

推定手法の基礎の理解を確認しましょう

信頼区間の解釈 レベル1

母平均 μ の95%信頼区間として [10, 20] が得られた。この結果の解釈として、誤っているものはどれか。

解説
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<p>信頼区間の正しい解釈を問う問題です。これは統計学の学習において非常によく誤解されるポイントです。</p><p class='key-point'>信頼区間は、指定された信頼水準(例: 95%)のもとで、その区間が真の母数を含むと期待される割合を示すものです。一度計算された特定の区間が母数を含むか否かは確率的な事象ではありません。</p><p class='step'>1. 信頼区間の基本的な考え方</p><p>母集団から無作為に標本を抽出し、その標本に基づいて母数(例: 母平均 μ)の信頼区間を計算します。この手続きを何度も繰り返すと、得られる信頼区間は標本ごとに変動します。95%信頼区間とは、「この手続きで得られるたくさんの区間のうち、約95%が真の母平均 μ を含むだろう」という意味です。</p><p class='step'>2. 各選択肢の検討</p><ul><li>選択肢1: 「この区間 [10, 20] が母平均 μ を含んでいる確率は95%である」という解釈は、頻度論の立場からは誤りです。真の母平均 μ は固定された未知の値であり、確率変数ではありません。区間が μ を含むか含まないかは、既に確定している事象(ただし我々にはわからない)と見なされます。この記述は「一般的な誤りである」と述べているため、記述自体は正しいです。</li><li>選択肢2: これは信頼区間の正しい頻度論的な解釈です。「同様の手順で標本抽出と区間推定を多数回繰り返した場合、得られる区間のうち約95%が母平均 μ を含むと期待される」というのが、95%信頼区間の意味するところです。したがって、これが「誤っているもの」を選ぶ問題の正解にはなりません。</li><li>選択肢3: 「我々は、母平均 μ が10と20の間にあると95%の確信度で主張できる」という表現は、厳密には頻度論の解釈とは異なります。これはむしろベイズ的な確信度に近い表現です。頻度論では、特定の区間が母平均を含む確率は0か1(含むか含まないか)であり、95%という確率は手続きの長期的な成功率を指します。この選択肢は「誤っているもの」として適切です。</li><li>選択肢4: これは頻度論の立場からの正しい記述です。特定の計算された区間 [10, 20] と固定された母平均 μ との関係は、確率的に変動するものではありません。μ が区間内にあるかないかは既に決まっています。</li><li>選択肢5: 一般的に、他の条件が同じであれば、標本サイズを大きくすると標準誤差が小さくなるため、信頼区間の幅は狭くなります。これは正しい記述です。</li></ul><p class='step'>3. 解答の再検討</p><p>選択肢を改めて検討すると、最も明確に「誤っている解釈」を指摘する問題としては、選択肢3が最も適切です。選択肢1は「誤りである」と述べているため、内容自体は正しい指摘です。選択肢2は正しい解釈です。</p><p>したがって、設問「この結果の解釈として、誤っているものはどれか」に対して、信頼区間の意味を誤って捉えているのは選択肢3です。</p><p class='final-answer-comment'>解答選択肢の微妙なニュアンスについて補足します。頻度論における信頼区間の厳密な解釈は、「多数回の試行において、その手続きが真の母数を捉える割合」です。一度計算された特定の区間 [10, 20] が μ を含む「確率」が95%である、というのは誤りです。選択肢3の「95%の確信度で主張できる」という表現は、この誤った解釈に近いため、不適切となります。</p>
問題 1/10
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