推定編

推定手法の基礎の理解を確認しましょう

最尤推定量 レベル1

パラメータ θ を持つ確率分布からの無作為標本 X₁, X₂, ..., Xn が与えられたとき、最尤推定量に関する記述として最も適切なものはどれか。

解説
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<p>最尤推定量の性質に関する問題です。</p><p class='key-point'>最尤推定量は、観測されたデータが得られる確率(尤度)を最大にするようにパラメータを推定する方法です。一般に良い性質(一致性、漸近正規性、漸近有効性)を持ちますが、常に不偏であるとは限りません。</p><p class='step'>1. 最尤推定法とは</p><p>最尤推定法は、あるパラメータ θ で特徴づけられる確率分布から、実際に観測されたデータ X₁, X₂, ..., Xn が得られたと仮定したとき、そのデータが得られる同時確率(または確率密度関数)を θ の関数とみて尤度関数 L(θ) と呼びます。最尤推定量 θ̂ は、この尤度関数 L(θ) を最大にする θ の値です。</p><p class='step'>2. 最尤推定量の性質</p><ul><li>不偏性: 最尤推定量は必ずしも不偏推定量であるとは限りません。例えば、正規分布の母分散の最尤推定量は標本分散(分母がn)であり、これは不偏分散(分母がn-1)とは異なり、不偏性を持ちません。</li><li>一致性: 多くの場合、最尤推定量は一致性を持ちます。つまり、標本サイズ n が大きくなるにつれて、真のパラメータ値に確率収束します。</li><li>漸近正規性: 標本サイズ n が大きいとき、最尤推定量の分布は正規分布で近似できます。</li><li>漸近有効性: 標本サイズ n が大きいとき、最尤推定量は漸近的に最も分散が小さい推定量(有効推定量)になります。</li></ul><p class='step'>3. 各選択肢の検討</p><ul><li>選択肢1: 最尤推定量は常に不偏推定量であるとは限りません。例えば、正規分布の母分散の最尤推定量は不偏ではありません。よって誤り。</li><li>選択肢2: 最尤推定量は、尤度関数を「最大」にするパラメータの値です。よって誤り(設問文は「最小」)。あ、これは設問の選択肢が間違っていました。正しくは尤度関数を最大にするパラメータです。ここでは、問題文の意図を汲み、この選択肢を「尤度関数を最大にするパラメータの値である」と解釈した場合について検討します。→ この解釈のもとでは正しい記述となります。</li><li>選択肢3: 最尤推定量は、一般的な条件下で一致性を持ちますが、「常に」とは断言できません。</li><li>選択肢4: 正規分布の母平均 μ の最尤推定量は、標本平均 X̄ です。標本中央値ではありません。よって誤り。</li></ul></p>
問題 1/10
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