確率編

確率の基礎から応用まで確認しましょう

ベイズの定理(原因の確率) レベル1

ある工場では、3つの機械A, B, Cがそれぞれ全製品の50%, 30%, 20%を生産している。各機械の不良品率はそれぞれ2%, 3%, 4%である。ある製品を抜き取って調べたところ、不良品であった。この不良品が機械Aによって生産された確率を求めよ。小数第3位まで求めよ。

解説
解答と解説を表示
<p>ベイズの定理を用いて原因の確率を求める問題です。</p><p class=‘step’>1. 事象の定義</p><p>以下の事象を定義します:</p><ul><li>事象 $A$:製品が機械Aで生産された</li><li>事象 $B$:製品が機械Bで生産された</li><li>事象 $C$:製品が機械Cで生産された</li><li>事象 $D$:製品が不良品である</li></ul><p>問題で与えられた情報:</p><ul><li>$P(A) = 0.50
lt;/li><li>$P(B) = 0.30
lt;/li><li>$P(C) = 0.20
lt;/li><li>$P(D|A) = 0.02$(機械Aの不良品率)</li><li>$P(D|B) = 0.03$(機械Bの不良品率)</li><li>$P(D|C) = 0.04$(機械Cの不良品率)</li></ul><p>求めるのは、不良品であったという条件のもとで、それが機械Aによって生産された確率 $P(A|D)$ です。</p><p class=‘step’>2. ベイズの定理</p><p>ベイズの定理より:</p><p class=‘formula’>$P(A|D) = \frac{P(D|A) \times P(A)}{P(D)}
lt;/p><p class=‘step’>3. 全確率の法則による分母の計算</p><p>分母の $P(D)$ は、製品が不良品である全体の確率です。これは全確率の法則を用いて計算できます。事象 $A, B, C$ は互いに排反であり、全事象を網羅するため:</p><p class=‘formula’>\begin{align}P(D) &= P(D|A)P(A) + P(D|B)P(B) + P(D|C)P(C) \\ &= (0.02 \times 0.50) + (0.03 \times 0.30) + (0.04 \times 0.20) \\ &= 0.010 + 0.009 + 0.008 \\ &= 0.027 \end{align}</p><p class=‘step’>4. 事後確率の計算</p> <p>ベイズの定理に値を代入して $P(A|D)$ を計算します:</p><p class=‘formula’>\begin{align} P(A|D) &= \frac{P(D|A) \times P(A)}{P(D)} \\ &= \frac{0.02 \times 0.50}{0.027} \\ &= \frac{0.010}{0.027} \\ &\approx 0.37037... \\ &\approx 0.370 \quad (\text{小数第3位まで})\end{align}</p><p class=‘note’>この問題は、ある結果(不良品)が観測されたときに、その原因となった事象(どの機械で生産されたか)の確率を求める、典型的なベイズの定理の応用例です。</p><ul><li>$P(A), P(B), P(C)$ は事前確率と呼ばれ、結果を知る前の各原因の確率を表します。</li><li>$P(D|A), P(D|B), P(D|C)$ は尤度と呼ばれ、各原因のもとで結果が観測される確率を表します。</li><li>$P(A|D)$ は事後確率と呼ばれ、結果を知った後の原因の確率を表します。</li></ul><p>計算結果より、不良品が見つかった場合、それが機械Aで生産された確率は約37.0%です。</p>
問題 1/10
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