確率編

確率の基礎から応用まで確認しましょう

確率変数の独立性 レベル1

2つの確率変数X, Yについて、以下の条件のうち、XとYが独立であるための必要十分条件はどれか。

解説
解答と解説を表示
<p>確率変数の独立性に関する問題です。</p><p class='step'>1. 確率変数の独立性の定義</p><p>2つの確率変数 $X$ と $Y$ が独立であるとは、任意の実数値 $a$ と $b$ に対して、以下の条件が成り立つことを意味します:</p><p class='formula'>$P(X \leq a, Y \leq b) = P(X \leq a) \times P(Y \leq b)
lt;/p><p>または、離散確率変数の場合、任意の値 $x$ と $y$ に対して:</p><p class='formula'>$P(X = x, Y = y) = P(X = x) \times P(Y = y)
lt;/p><p>これは、一方の確率変数の値が他方の確率変数の確率分布に影響を与えないことを意味します。</p><p class='step'>2. 各選択肢の検討</p><p>選択肢1:「E(XY) = E(X)E(Y)」</p><p>確率変数が独立であれば、期待値の積の性質により $E(XY) = E(X)E(Y)$ が成り立ちます。しかし、この条件は独立性の必要条件ではありますが、十分条件ではありません。つまり、$E(XY) = E(X)E(Y)$ が成り立っても、$X$ と $Y$ が独立であるとは限りません。例えば、$X$ が標準正規分布に従い、$Y = X^2$ とすると、$E(XY) = E(X^3) = 0 = E(X)E(X^2) = E(X)E(Y)$ となりますが、$X$ と $Y$ は明らかに独立ではありません。</p><p>選択肢2:「Cov(X, Y) = 0」</p><p>共分散 $Cov(X, Y) = E[(X - E(X))(Y - E(Y))] = E(XY) - E(X)E(Y)$ が0であることは、$X$ と $Y$ が無相関であることを意味します。確率変数が独立であれば共分散は0になりますが、逆は必ずしも成り立ちません。つまり、共分散が0でも、$X$ と $Y$ が独立であるとは限りません。例えば、$X$ が標準正規分布に従い、$Y = X^2$ とすると、$Cov(X, Y) = E(XY) - E(X)E(Y) = E(X^3) - E(X)E(X^2) = 0 - 0 \times 1 = 0$ となりますが、$X$ と $Y$ は独立ではありません。</p><p>選択肢3:「任意の実数a, bに対して、P(X ≤ a, Y ≤ b) = P(X ≤ a)P(Y ≤ b)」</p><p>これは確率変数の独立性の定義そのものです。したがって、これは $X$ と $Y$ が独立であるための必要十分条件です。</p><p>選択肢4:「Var(X + Y) = Var(X) + Var(Y)」</p><p>分散の加法性 $Var(X + Y) = Var(X) + Var(Y) + 2Cov(X, Y)$ より、$Var(X + Y) = Var(X) + Var(Y)$ が成り立つのは $Cov(X, Y) = 0$ の場合です。しかし、選択肢2で説明したように、共分散が0でも独立性は保証されません。したがって、この条件は独立性の必要条件ではありますが、十分条件ではありません。</p><p>選択肢5:「相関係数ρ(X, Y) = 0」</p><p>相関係数 $\rho(X, Y) = \frac{Cov(X, Y)}{\sqrt{Var(X)Var(Y)}}$ が0であることは、$X$ と $Y$ が無相関であることを意味します。これは共分散が0であることと同等です。したがって、選択肢2と同様に、この条件は独立性の必要条件ではありますが、十分条件ではありません。</p><p class='step'>3. 結論</p><p>以上の検討から、2つの確率変数 $X$ と $Y$ が独立であるための必要十分条件は、「任意の実数a, bに対して、P(X ≤ a, Y ≤ b) = P(X ≤ a)P(Y ≤ b)」です。</p><p class='note'>確率変数の独立性と無相関の関係:</p><ul><li>独立 ⇒ 無相関:確率変数が独立であれば、必ず無相関(共分散が0)です。</li><li>無相関 ⇏ 独立:確率変数が無相関でも、必ずしも独立であるとは限りません。</li><li>例外:二変量正規分布の場合は、無相関と独立が同値です。つまり、二変量正規分布に従う確率変数 $X$ と $Y$ については、$Cov(X, Y) = 0$ であることと独立であることは同等です。</li></ul><p>したがって、正解は「任意の実数a, bに対して、P(X ≤ a, Y ≤ b) = P(X ≤ a)P(Y ≤ b)」です。</p>
問題 1/10
カテゴリ一覧に戻る