回帰分析編

回帰分析の基礎や評価指標についての知識を確認します

実験計画法の基本 レベル1

実験計画法における無作為化の主な目的として最も適切なものはどれか。

解説
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<p>実験計画法における無作為化の目的に関する問題です。</p><p class='step'>1. 実験計画法の基本概念</p> <p>実験計画法(Design of Experiments, DOE)は、効率的かつ効果的に実験を行い、得られたデータから有効な結論を導くための統計的手法です。実験計画法の主要な原則には、無作為化(Randomization)、反復(Replication)、ブロック化(Blocking)などがあります。</p><p class='step'>2. 無作為化の定義と目的</p> <p>無作為化とは、実験単位を処理群に割り当てる際に、無作為(ランダム)に行うことを指します。無作為化の主な目的は、実験者が制御できない、または認識していない交絡因子(confounding factors)の影響を均等化することです。</p><p>交絡因子とは、実験で調査している要因(独立変数)と結果(従属変数)の両方に影響を与える第三の変数のことです。無作為化によって、これらの交絡因子の影響が各処理群に均等に分散されることが期待されます。</p><p>例えば、農業実験で異なる肥料の効果を比較する場合、土壌の質や日照条件などの交絡因子が結果に影響を与える可能性があります。実験区画を肥料処理に無作為に割り当てることで、これらの交絡因子の影響が各処理群に均等に分散されます。</p><p class='step'>3. 無作為化の効果</p> <p>無作為化には以下のような効果があります:</p> <ul> <li>選択バイアスの排除:実験者の主観的判断による偏りを防ぐ</li> <li>未知の交絡因子の影響の均等化:認識されていない要因の影響を各処理群に均等に分散させる</li> <li>統計的推測の妥当性の確保:統計的検定の前提条件を満たすのに役立つ</li> <li>系統的誤差の軽減:時間的・空間的な変動による系統的な誤差を軽減する</li> </ul><p class='step'>4. 選択肢の検討</p> <p>各選択肢について検討します:</p><ol> <li>「実験の再現性を高めるため」:無作為化自体は実験の再現性を直接高めるものではありません。むしろ、実験の再現性は、実験条件の詳細な記録や標準化された手順によって高められます。</li><li>「実験の効率を上げるため」:無作為化は実験の効率を直接向上させるものではありません。実験の効率は、適切な実験計画(例えば、因子配置法や部分実施法)によって向上します。</li><li>「交絡因子の影響を均等化するため」:正しいです。無作為化の主な目的は、既知および未知の交絡因子の影響を各処理群に均等に分散させることです。</li><li>「実験の費用を削減するため」:無作為化自体は実験の費用削減を目的としていません。費用削減は、効率的な実験計画や最適なサンプルサイズの決定によって達成されます。</li><li>「実験の規模を小さくするため」:無作為化は実験の規模を小さくするためのものではありません。実験の規模は、必要な統計的検出力や利用可能なリソースに基づいて決定されます。</li> </ol><p class='note'>実験計画法の他の重要な原則:</p> <ul> <li><strong>反復(Replication)</strong>:同じ処理を複数の実験単位に適用することで、実験誤差を推定し、結果の信頼性を高めます。</li> <li><strong>ブロック化(Blocking)</strong>:実験単位を類似した特性を持つグループ(ブロック)に分け、各ブロック内で処理を比較することで、既知の交絡因子の影響を制御します。</li> <li><strong>因子配置法(Factorial Design)</strong>:複数の因子の効果とその交互作用を同時に調査するための効率的な方法です。</li> <li><strong>直交表(Orthogonal Array)</strong>:因子の主効果を効率的に推定するための特殊な実験計画です。</li> <li><strong>応答曲面法(Response Surface Methodology)</strong>:因子の最適な組み合わせを見つけるための方法です。</li> </ul><p>したがって、実験計画法における無作為化の主な目的として最も適切なものは「交絡因子の影響を均等化するため」です。</p>
問題 1/10
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