回帰分析編

回帰分析の基礎や評価指標についての知識を確認します

分散分析 レベル1

一元配置分散分析(One-way ANOVA)において、グループ間変動(SSB)とグループ内変動(SSW)の関係として正しいものはどれか。

解説
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<p>一元配置分散分析(One-way ANOVA)におけるグループ間変動とグループ内変動の関係に関する問題です。</p><p class='step'>1. 一元配置分散分析の基本概念</p> <p>一元配置分散分析は、3つ以上のグループの平均値を比較するための統計的手法です。この分析では、データの総変動を以下の2つの成分に分解します:</p> <ul> <li>グループ間変動(Between-group variation, SSB):グループの平均値の違いによる変動</li> <li>グループ内変動(Within-group variation, SSW):各グループ内での個々の観測値のばらつきによる変動</li> </ul><p class='step'>2. 変動の分解</p> <p>一元配置分散分析では、総変動(Total Sum of Squares, SST)は以下のように分解されます:</p> <p class='formula'>$SST = SSB + SSW
lt;/p><p>ここで:</p> <ul> <li>$SST$:総変動(Total Sum of Squares)</li> <li>$SSB$:グループ間変動(Between-group Sum of Squares)</li> <li>$SSW$:グループ内変動(Within-group Sum of Squares)</li> </ul><p class='step'>3. 各変動の計算式</p> <p>各変動は以下のように計算されます:</p><p>総変動(SST):</p> <p class='formula'>$SST = \sum_{i=1}^{k} \sum_{j=1}^{n_i} (y_{ij} - \bar{y})^2
lt;/p><p>グループ間変動(SSB):</p> <p class='formula'>$SSB = \sum_{i=1}^{k} n_i (\bar{y}_i - \bar{y})^2
lt;/p><p>グループ内変動(SSW):</p> <p class='formula'>$SSW = \sum_{i=1}^{k} \sum_{j=1}^{n_i} (y_{ij} - \bar{y}_i)^2
lt;/p><p>ここで:</p> <ul> <li>$y_{ij}$:グループ $i$ の $j$ 番目の観測値</li> <li>$\bar{y}_i$:グループ $i$ の平均値</li> <li>$\bar{y}$:全体の平均値</li> <li>$k$:グループの数</li> <li>$n_i$:グループ $i$ のサンプルサイズ</li> </ul><p class='step'>4. 変動の関係の確認</p> <p>総変動(SST)は、グループ間変動(SSB)とグループ内変動(SSW)の和に等しいことが数学的に証明できます:</p> <p class='formula'>$SST = SSB + SSW
lt;/p><p>この関係は、分散分析の基本的な原理であり、変動の加法性(additivity of variance)と呼ばれることもあります。</p><p class='step'>5. 選択肢の検討</p> <p>各選択肢について検討します:</p><ol> <li>「SSB + SSW = 総変動(SST)」:正しいです。上記で説明したように、総変動はグループ間変動とグループ内変動の和に等しいです。</li><li>「SSB - SSW = 総変動(SST)」:誤りです。総変動は差ではなく和です。</li><li>「SSB × SSW = 総変動(SST)」:誤りです。総変動は積ではなく和です。</li><li>「SSB ÷ SSW = 総変動(SST)」:誤りです。総変動は商ではなく和です。なお、SSB/SSW は F統計量の計算に関連しますが、それは自由度で調整した後の値です。</li><li>「SSB = SSW = 総変動(SST)」:誤りです。一般的に、SSB、SSW、SSTはそれぞれ異なる値を持ちます。</li> </ol><p class='note'>分散分析の応用と解釈:</p> <ul> <li>F検定:分散分析では、グループ間変動とグループ内変動の比率(F統計量)を用いて、グループ間に有意差があるかどうかを検定します。F統計量は以下のように計算されます:</li> <p class='formula'>$F = \frac{MSB}{MSW} = \frac{SSB/(k-1)}{SSW/(N-k)}
lt;/p> <p>ここで、MSBはグループ間平均平方、MSWはグループ内平均平方、Nは総サンプルサイズです。</p><li>効果量:分散分析の結果が統計的に有意であった場合、効果の大きさを評価するために効果量(例えば、η²やω²)を計算することがあります。</li><li>多重比較:分散分析で有意差が検出された場合、どのグループ間に差があるかを特定するために、Tukey's HSD、Bonferroni、Schefféなどの多重比較法が用いられます。</li><li>前提条件:分散分析の妥当性は、正規性、等分散性、独立性などの前提条件に依存します。これらの前提条件が満たされない場合、ノンパラメトリック検定(例えば、Kruskal-Wallis検定)を検討することがあります。</li> </ul><p>したがって、一元配置分散分析においてグループ間変動(SSB)とグループ内変動(SSW)の関係として正しいものは「SSB + SSW = 総変動(SST)」です。</p>
問題 1/10
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