<p>回帰係数の検定に関する問題です。</p><p class='step'>1. 仮説の設定</p>
<p>回帰係数β₁が統計的に有意かどうかを検定するために、以下の仮説を設定します:</p>
<p class='formula'>
\begin{align}
H_0: \beta_1 &= 0 \\
H_1: \beta_1 &\neq 0
\end{align}
</p><p>帰無仮説H₀は「説明変数と応答変数の間に線形関係がない」ことを意味し、対立仮説H₁は「線形関係がある」ことを意味します。</p><p class='step'>2. 検定統計量の計算</p>
<p>回帰係数の検定には、t検定を用います。検定統計量tは以下のように計算されます:</p>
<p class='formula'>$t = \frac{\hat{\beta}_1 - \beta_{1,0}}{SE(\hat{\beta}_1)}
lt;/p><p>ここで:</p>
<ul>
<li>$\hat{\beta}_1$は回帰係数β₁の推定値</li>
<li>$\beta_{1,0}$は帰無仮説で仮定される値(この場合は0)</li>
<li>$SE(\hat{\beta}_1)$は回帰係数の推定値の標準誤差</li>
</ul><p>与えられた情報を代入すると:</p>
<p class='formula'>
\begin{align}
t &= \frac{\hat{\beta}_1 - \beta_{1,0}}{SE(\hat{\beta}_1)} \\
&= \frac{2.5 - 0}{0.8} \\
&= \frac{2.5}{0.8} \\
&= 3.125
\end{align}
</p><p class='step'>3. 臨界値の決定</p>
<p>有意水準α = 0.05の両側検定では、自由度n - 2 = 20 - 2 = 18のt分布の上側α/2 = 0.025点と下側α/2 = 0.025点が臨界値となります。</p><p>t分布表または計算ツールを用いて、t₁₈,₀.₀₂₅ = 2.101を得ます。</p><p>したがって、棄却域は t < -2.101 または t > 2.101 です。</p><p class='step'>4. 判定</p>
<p>計算された検定統計量t = 3.125は、臨界値t₁₈,₀.₀₂₅ = 2.101よりも大きいため、棄却域に入ります。</p><p>したがって、有意水準5%で帰無仮説H₀: β₁ = 0を棄却します。</p><p class='step'>5. 結論</p>
<p>有意水準5%で、回帰係数β₁は統計的に有意に0と異なると結論づけられます。つまり、説明変数と応答変数の間には統計的に有意な線形関係があると言えます。</p><p class='note'>回帰係数の検定に関する注意点:</p>
<ul>
<li>回帰係数の検定は、説明変数と応答変数の間の線形関係の有無を評価するものであり、因果関係を示すものではありません。</li>
<li>統計的有意性と実質的重要性は区別する必要があります。統計的に有意な係数でも、その効果の大きさが実用上重要でない場合があります。</li>
<li>標本サイズが大きいほど、小さな効果でも統計的に有意になりやすくなります。</li>
<li>回帰係数の信頼区間を構築することで、係数の不確実性の範囲を評価することができます。</li>
<li>多重共線性(説明変数間の強い相関)がある場合、回帰係数の推定値と検定結果が不安定になる可能性があります。</li>
</ul><p>したがって、検定統計量の値は3.125であり、結論は「帰無仮説を棄却する」です。</p>