回帰分析編

回帰分析の基礎や評価指標についての知識を確認します

リッジ回帰とは レベル1

リッジ回帰(Ridge Regression)が主にどのような問題を解決するために用いられるか、最も適切なものを選べ。

解説
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<p>リッジ回帰の主な目的と特徴を理解しているかを問う問題です。</p> <p class='key-point'>リッジ回帰は、多重共線性の影響を緩和し、より安定した回帰係数の推定を可能にする手法です。</p> <p class='step'>1. 多重共線性とその問題点</p> <p>重回帰分析において、説明変数間に強い相関関係がある状態を多重共線性といいます。多重共線性が存在すると、最小二乗法による回帰係数の推定値が不安定になったり、標準誤差が非常に大きくなったりする問題が生じます。これにより、個々の説明変数の影響を正しく評価することが困難になります。</p> <p class='step'>2. リッジ回帰の仕組み</p> <p>リッジ回帰は、この多重共線性の問題を解決するための一つの手法です。通常の最小二乗法では残差平方和 $\sum (y_i - \hat{y}_i)^2$ を最小化しますが、リッジ回帰ではこれに加えて、回帰係数の大きさに対するペナルティ項(L2ノルム)を導入します。</p> <p class='formula'>目的関数 = $\sum_{i=1}^{n} (y_i - \beta_0 - \sum_{j=1}^{p} \beta_j x_{ij})^2 + \alpha \sum_{j=1}^{p} \beta_j^2
lt;/p> <p>ここで、$\alpha$ は正則化パラメータ(またはリッジパラメータ)と呼ばれ、ペナルティの強さを調整します。$\alpha$ が大きいほど、回帰係数は0に近づきます(縮小推定)。</p> <p class='step'>3. リッジ回帰の効果</p> <ul> <li><strong>係数の安定化</strong>:多重共線性により不安定だった回帰係数の推定値を安定させます。</li> <li><strong>過学習の抑制</strong>:係数の大きさを抑えることで、モデルが訓練データに過剰に適合する(過学習)のを防ぐ効果も期待できます。</li> <li><strong>変数選択は行わない</strong>:LASSO回帰とは異なり、リッジ回帰では係数が0になることは稀で、変数選択の効果は限定的です。</li> </ul> <p class='step'>4. 他の選択肢の検討</p> <ul> <li>「説明変数が応答変数に対して非線形の関係を持つ場合」:多項式回帰やスプライン回帰、一般化加法モデルなどが適しています。</li> <li>「誤差項が正規分布に従わない場合」:ロバスト回帰や、応答変数の変換、一般化線形モデルの利用が考えられます。</li> <li>「外れ値がモデルに大きな影響を与える場合」:ロバスト回帰や外れ値の除去・調整が検討されます。</li> <li>「応答変数がカテゴリカルデータである場合」:ロジスティック回帰やサポートベクターマシンなどが用いられます。</li> </ul> <p class='note'>関連する手法:LASSO回帰</p> <p>LASSO回帰もリッジ回帰と同様に正則化を用いた手法ですが、ペナルティ項としてL1ノルム(係数の絶対値の和)を用います。LASSO回帰は一部の係数を正確に0にすることができ、変数選択の効果も持ちます。</p> <p>したがって、リッジ回帰が主に用いられるのは、説明変数間に強い相関(多重共線性)が存在する場合です。</p>
問題 1/10
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