検定編

統計的仮説検定の理論と実践を学ぼう

検定力と標本サイズ レベル1

検定力に関する記述として正しいものはどれか。

解説
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<p>検定力と関連する概念について考えましょう。</p><p class='step'>1. 検定力の定義</p> <p>検定力(Power)は、帰無仮説が偽であるときに、それを正しく棄却する確率です。数学的には、検定力は $1-\beta$ で表されます。ここで $\beta$ は第2種の誤りの確率です。</p><p class='formula'>$\text{検定力} = P(\text{帰無仮説を棄却} | \text{帰無仮説が偽})= 1 - \beta
lt;/p><p class='step'>2. 検定の誤りと検定力の関係</p><p>仮説検定では2種類の誤りが発生する可能性があります:</p> <ul> <li><strong>第1種の誤り($\alpha$)</strong>:帰無仮説が真であるのに棄却してしまう誤り(偽陽性)</li> <li><strong>第2種の誤り($\beta$)</strong>:帰無仮説が偽であるのに棄却できない誤り(偽陰性)</li> </ul><p>検定力は第2種の誤りと反対の関係にあります。検定力が高いほど、第2種の誤りの確率は低くなります。</p><p class='step'>3. 検定力に影響する要因</p><p>検定力に影響する主な要因は以下の通りです:</p><ul> <li><strong>標本サイズ($n$)</strong>:標本サイズが大きくなると、検定力は高くなります。大きな標本では、母集団の特性をより正確に推定できるため、真の効果を検出しやすくなります。</li><li><strong>効果量(Effect Size)</strong>:効果量が大きいほど、検定力は高くなります。効果量は、検出したい差や関連の大きさを表します。大きな効果は小さな効果よりも検出しやすいです。</li><li><strong>有意水準($\alpha$)</strong>:有意水準を上げると(例えば0.01から0.05に)、検定力は高くなります。ただし、これは第1種の誤りの確率も増加させます。</li><li><strong>分散</strong>:データの分散が小さいほど、検定力は高くなります。分散が小さいと、効果をより明確に検出できます。</li> </ul><p class='step'>4. 選択肢の検討</p><ol> <li>「検定力は第1種の誤りを犯す確率である」→ 誤り。検定力は第2種の誤りを犯さない確率($1-\beta$)です。</li><li>「検定力が高いほど、第2種の誤りを犯す確率は高くなる」→ 誤り。検定力が高いほど、第2種の誤りを犯す確率($\beta$)は低くなります。</li><li>「標本サイズが大きくなると、検定力は低下する」→ 誤り。標本サイズが大きくなると、検定力は高くなります。</li><li>「効果量が大きいほど、検定力は高くなる」→ 正しい。効果量が大きいほど、その効果を検出する確率(検定力)は高くなります。</li><li>「有意水準を下げると、検定力は高くなる」→ 誤り。有意水準を下げる(例えば0.05から0.01に)と、検定力は低下します。</li> </ol><p class='note'>検定力分析は、研究計画の段階で必要な標本サイズを決定するために重要です。十分な検定力(通常0.8以上)を確保するためには、予想される効果量、希望する有意水準、および許容できる第2種の誤りの確率に基づいて、適切な標本サイズを計算する必要があります。</p><p>したがって、検定力に関する記述として正しいものは「効果量が大きいほど、検定力は高くなる」です。</p>
問題 1/10
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