検定編

統計的仮説検定の理論と実践を学ぼう

母平均の検定(片側検定) レベル1

ある製品の重量について、μ > 50g という仮説を検定したい。無作為に抽出した16個の標本から、標本平均 x̄ = 52g、標本標準偏差 s = 4g が得られた。有意水準5%で検定を行うとき、検定統計量の値を求めよ。

解説
解答と解説を表示
<p>母平均の片側検定を行う問題です。</p><p class='step'>1. 仮説の設定</p> <p>問題文から、以下の仮説を設定します:</p> <ul> <li>帰無仮説 $H_0$: $\mu \leq 50$ (母平均は50g以下である)</li> <li>対立仮説 $H_1$: $\mu > 50$ (母平均は50gより大きい)</li> </ul><p class='step'>2. 検定統計量の選択</p> <p>母分散が未知の場合、小標本($n < 30$)では t検定を用います。検定統計量 t は以下の式で計算されます:</p><p class='formula'>$t = \frac{\bar{x} - \mu_0}{s/\sqrt{n}}
lt;/p><p>ここで:</p> <ul> <li>$\bar{x}$ は標本平均</li> <li>$\mu_0$ は帰無仮説で仮定される母平均</li> <li>$s$ は標本標準偏差</li> <li>$n$ は標本サイズ</li> </ul><p class='step'>3. 検定統計量の計算</p> <p>与えられた情報を代入します:</p> <ul> <li>$\bar{x} = 52
lt;/li> <li>$\mu_0 = 50$ (帰無仮説の値)</li> <li>$s = 4
lt;/li> <li>$n = 16
lt;/li> </ul><p class='formula'>$t = \frac{52 - 50}{4/\sqrt{16}} = \frac{2}{4/4} = \frac{2}{1} = 2
lt;/p><p class='step'>4. 決定ルール</p> <p>有意水準5%の片側検定では、自由度 $df = n - 1 = 16 - 1 = 15$ の t分布の上側5%点と比較します。</p><p>$t_{0.05, 15} \approx 1.753$ (t分布表から)</p><p>計算された検定統計量 $t = 2$ は臨界値 $t_{0.05, 15} \approx 1.753$ より大きいため、帰無仮説を棄却します。つまり、母平均は50gより大きいと結論づけられます。</p><p class='note'>片側検定と両側検定の違い:</p> <ul> <li><strong>片側検定</strong>:効果の方向性(大きいか小さいか)を事前に指定し、その方向にのみ有意性を検討します。臨界値は片側の確率に基づきます。</li> <li><strong>両側検定</strong>:効果の方向性を指定せず、どちらの方向でも有意性を検討します。臨界値は両側の確率に基づきます。</li> </ul><p>この問題では、「$\mu > 50$」という明確な方向性が指定されているため、片側検定が適切です。</p><p>したがって、検定統計量の値は $t = 2$ です。</p>
問題 1/10
カテゴリ一覧に戻る