<p>カイ二乗適合度検定を行う問題です。</p><p class='step'>1. 仮説の設定</p>
<p>問題文から、以下の仮説を設定します:</p>
<ul>
<li>帰無仮説 $H_0$: サイコロは公正である(各目が等確率 $1/6$ で出る)</li>
<li>対立仮説 $H_1$: サイコロは公正ではない(少なくとも1つの目の出る確率が $1/6$ と異なる)</li>
</ul><p class='step'>2. 期待度数の計算</p>
<p>帰無仮説のもとでの期待度数は、各目について同じになります:</p><p class='formula'>$E_i = n \times p_i = 600 \times \frac{1}{6} = 100$ (各目について)</p><p>ここで、$n$ は試行回数、$p_i$ は各目の理論的確率です。</p><p class='step'>3. 検定統計量の計算</p>
<p>カイ二乗適合度検定の検定統計量 $\chi^2$ は以下の式で計算されます:</p><p class='formula'>$\chi^2 = \sum_{i=1}^{k} \frac{(O_i - E_i)^2}{E_i}
lt;/p><p>ここで、$O_i$ は観測度数、$E_i$ は期待度数、$k$ はカテゴリ(この場合はサイコロの目)の数です。</p><p>与えられた情報を代入します:</p><p class='formula'>
\begin{align}
\chi^2 &= \frac{(85 - 100)^2}{100} + \frac{(90 - 100)^2}{100} + \frac{(110 - 100)^2}{100} + \frac{(105 - 100)^2}{100} + \frac{(120 - 100)^2}{100} + \frac{(90 - 100)^2}{100} \\
&= \frac{(-15)^2}{100} + \frac{(-10)^2}{100} + \frac{10^2}{100} + \frac{5^2}{100} + \frac{20^2}{100} + \frac{(-10)^2}{100} \\
&= \frac{225}{100} + \frac{100}{100} + \frac{100}{100} + \frac{25}{100} + \frac{400}{100} + \frac{100}{100} \\
&= 2.25 + 1 + 1 + 0.25 + 4 + 1 \\
&= 9.5
\end{align}
</p><p class='step'>4. 自由度と臨界値(参考)</p>
<p>カイ二乗適合度検定の自由度は $df = k - 1 - m$ です。ここで、$k$ はカテゴリの数、$m$ は推定されたパラメータの数です。この問題では、$k = 6$(サイコロの目の数)で、パラメータの推定はないので $m = 0$ です。したがって、$df = 6 - 1 - 0 = 5$ となります。</p><p>有意水準5%では、自由度5のカイ二乗分布の上側5%点は $\chi^2_{0.05, 5} \approx 11.07$ です。</p><p>計算された検定統計量 $\chi^2 = 9.5$ は臨界値 $\chi^2_{0.05, 5} \approx 11.07$ より小さいため、有意水準5%では帰無仮説を棄却できません。つまり、このサイコロが公正でないとは言えません。</p><p class='step'>5. 選択肢の検討</p><p>計算された検定統計量 $\chi^2 = 9.5$ に最も近い選択肢は当然「9.5」です。</p><p class='note'>カイ二乗適合度検定は、観測された頻度と理論的に期待される頻度との差を評価するための検定です。検定統計量が大きいほど、観測データと理論的期待との不一致が大きいことを示します。</p><p>また、カイ二乗検定を適用するためには、すべての期待度数が5以上であることが望ましいとされています。この問題では、各目の期待度数は100なので、この条件は満たされています。</p>