母平均の検定(片側検定)に関する問題です。
1. 仮説の設定
この問題では、新薬に血圧低下の効果があるかどうかを検定します。
帰無仮説 $H_0$ と対立仮説 $H_1$ は以下のように設定されます:
\begin{align}
H_0: \mu &\leq 0 \\
H_1: \mu &> 0
\end{align}
ここで、$\mu$ は血圧低下量の母平均です。帰無仮説は「新薬に血圧低下の効果がない(または血圧が上昇する)」、対立仮説は「新薬に血圧低下の効果がある」ことを表しています。
これは右片側検定です。
2. 検定統計量の選択
標本サイズが小さく($n = 10$)、母分散が未知なので、t検定を用います。
検定統計量 $t$ は以下のように計算されます:
$t = \frac{\bar{x} - \mu_0}{s / \sqrt{n}}$
ここで、$\bar{x}$ は標本平均、$\mu_0$ は帰無仮説で仮定される母平均(この場合は0)、$s$ は標本標準偏差、$n$ は標本サイズです。
3. 検定統計量の計算
与えられた情報を代入して、検定統計量を計算します:
\begin{align}
t &= \frac{\bar{x} - \mu_0}{s / \sqrt{n}} \\
&= \frac{8 - 0}{4 / \sqrt{10}} \\
&= \frac{8}{4 / 3.16} \\
&= \frac{8}{1.27} \\
&= 6.32
\end{align}
4. 臨界値の決定
有意水準 $\alpha = 0.05$ の右片側検定では、自由度 $n - 1 = 9$ のt分布の上側 $\alpha = 0.05$ 点が臨界値となります。
t分布表または計算ツールを用いて、$t_{9, 0.05} = 1.833$ を得ます。
したがって、棄却域は $t > 1.833$ です。
5. 判定
計算された検定統計量 $t = 6.32$ は、臨界値 $t_{9, 0.05} = 1.833$ よりも大きいため、棄却域に入ります。
したがって、有意水準5%で帰無仮説 $H_0: \mu \leq 0$ を棄却します。
6. 結論
有意水準5%で、この新薬には血圧低下の効果があると結論づけられます。
具体的には、血圧低下量の標本平均が8mmHgであり、これは統計的に有意に0よりも大きいと判断されました。
片側検定と両側検定の違い:
- 片側検定は、母数が特定の方向(大きいまたは小さい)に偏っているかどうかを検定する場合に用います。
- 両側検定は、母数が特定の値と異なるかどうか(大きいまたは小さい)を検定する場合に用います。
- 片側検定の方が両側検定よりも検出力が高いですが、検定の方向を事前に決める必要があります。
- 研究の目的や仮説に基づいて、適切な検定の種類(片側または両側)を選択することが重要です。
- 片側検定の有意水準 $\alpha$ での臨界値は、両側検定の有意水準 $2\alpha$ での臨界値と同じです。
この問題では、新薬の血圧低下効果を検定するために、血圧低下量の標本平均が8mmHg、標本標準偏差が4mmHg、標本サイズが10の場合に、母平均が0よりも大きいかどうかを検定しました。計算の結果、検定統計量 $t = 6.32$ となり、有意水準5%で帰無仮説を棄却することになります。
したがって、検定統計量の値は6.32であり、結論は「帰無仮説を棄却する」です。