母比率の検定に関する問題です。
1. 仮説の設定
この問題では、製品の不良率が5%を超えるかどうかを検定します。
帰無仮説 $H_0$ と対立仮説 $H_1$ は以下のように設定されます:
\begin{align}
H_0: p &\leq 0.05 \\
H_1: p &> 0.05
\end{align}
ここで、$p$ は不良率(母比率)です。帰無仮説は「不良率が5%以下である」、対立仮説は「不良率が5%を超える」ことを表しています。
これは右片側検定です。
2. 検定統計量の選択
標本サイズが大きい($n = 400$)ので、正規近似を用いた比率の検定を行います。
検定統計量 $z$ は以下のように計算されます:
$z = \frac{\hat{p} - p_0}{\sqrt{\frac{p_0(1-p_0)}{n}}}$
ここで、$\hat{p}$ は標本比率、$p_0$ は帰無仮説で仮定される母比率(この場合は0.05)、$n$ は標本サイズです。
3. 検定統計量の計算
まず、標本比率を計算します:
\begin{align}
\hat{p} &= \frac{X}{n} \\
&= \frac{25}{400} \\
&= 0.0625
\end{align}
次に、検定統計量を計算します:
\begin{align}
z &= \frac{\hat{p} - p_0}{\sqrt{\frac{p_0(1-p_0)}{n}}} \\
&= \frac{0.0625 - 0.05}{\sqrt{\frac{0.05 \times 0.95}{400}}} \\
&= \frac{0.0125}{\sqrt{\frac{0.0475}{400}}} \\
&= \frac{0.0125}{\sqrt{0.00011875}} \\
&= \frac{0.0125}{0.0109} \\
&= 1.15
\end{align}
ただし、帰無仮説が $p \leq 0.05$ の形式なので、境界値 $p = 0.05$ で検定を行います。
4. 臨界値の決定
有意水準 $\alpha = 0.05$ の右片側検定では、標準正規分布の上側 $\alpha = 0.05$ 点が臨界値となります。
標準正規分布表または計算ツールを用いて、$z_{0.05} = 1.645$ を得ます。
したがって、棄却域は $z > 1.645$ です。
5. 判定
計算された検定統計量 $z = 1.15$ は、臨界値 $z_{0.05} = 1.645$ よりも小さいため、棄却域に入りません。
したがって、有意水準5%で帰無仮説 $H_0: p \leq 0.05$ を棄却することはできません。
6. 結論
有意水準5%で、この製品の不良率が5%を超えるという十分な証拠はないと結論づけられます。
具体的には、標本から計算された不良率は6.25%ですが、この値と5%の差は統計的に有意ではないと判断されました。
母比率の検定に関する注意点:
- 正規近似を用いるためには、$np_0 \geq 5$ かつ $n(1-p_0) \geq 5$ を満たす必要があります。この問題では、$np_0 = 400 \times 0.05 = 20 \geq 5$ かつ $n(1-p_0) = 400 \times 0.95 = 380 \geq 5$ なので、条件を満たしています。
- 連続性の補正を適用することで、離散的な二項分布を連続的な正規分布で近似する際の精度を向上させることができます。
- 帰無仮説を棄却できないことは、帰無仮説が真であることを証明するものではありません。単に、対立仮説を支持する十分な証拠がないことを示しているだけです。
- 検定の結果は、標本サイズに大きく依存します。標本サイズが大きいほど、小さな差でも統計的に有意になる可能性が高まります。
- 統計的有意性と実質的な重要性は異なる概念です。統計的に有意でない差でも、実用上重要な場合があります。