<p>対応のあるt検定を用いて、ダイエットプログラムの効果(体重減少)を検証する問題です。</p><p class='key-point'>対応のあるデータ(同一対象の前後比較など)では、各ペアの差を計算し、その差の平均値が0と有意に異なるかを1標本のt検定で評価します。</p><p class='step'>1. 仮説の設定</p>
<p>体重差を「前 - 後」で計算しているため、体重が減少していれば差は正の値になります。プログラムに体重減少効果があるかを検証するため、片側検定を設定します。</p>
<ul>
<li>帰無仮説 \( H_0: \mu_d \le 0 \) (プログラムに体重減少効果はない、または体重が増加する)</li>
<li>対立仮説 \( H_1: \mu_d > 0 \) (プログラムに体重減少効果がある)</li>
</ul>
<p>ここで、 \(\mu_d\) は体重差(前 - 後)の母平均です。これは右側片側検定です。</p><p class='step'>2. 検定統計量の選択</p>
<p>同一参加者のプログラム前後の体重差という対応のあるデータであり、差の母平均を検定するため、「対応のあるt検定」を用います。これは、計算された差のデータに対して1標本のt検定を行うことと同じです。</p><p class='step'>3. 検定統計量の計算</p>
<p>与えられた情報は以下の通りです:</p>
<ul>
<li>標本サイズ: \( n = 16 \)</li>
<li>体重差の標本平均: \( \bar{d} = 5 \) kg</li>
<li>体重差の不偏標準偏差: \( s_d = 5 \) kg</li>
<li>帰無仮説での母平均: \( \mu_0 = 0 \)</li>
</ul>
<p>検定統計量 \( t \) は以下の式で計算されます:</p>
<p class='formula'>
$t = \frac{\bar{d} - \mu_0}{s_d / \sqrt{n}}$
</p>
<p>値を代入します:</p>
<p class='formula'>$
t = \frac{5 - 0}{5 / \sqrt{16}} = \frac{5}{5 / 4} = \frac{5}{1.25} = 4.00
lt;/p>
<p class='step'>4. 棄却域の設定</p>
<p>有意水準 \( \alpha = 0.05 \)。自由度は \( df = n - 1 = 16 - 1 = 15 \)。</p>
<p>右側片側検定なので、棄却域は \( t > t_{0.05}(15) \) です。</p>
<p>問題文より、臨界値は \( t_{0.05}(15) = 1.753 \)。</p>
<p>よって、棄却域は \( t > 1.753 \) となります。</p>
<p class='step'>5. 判定と結論</p>
<p>計算された検定統計量 \( t = 4.00 \) は、棄却域 \( t > 1.753 \) に含まれます \( 4.00 > 1.753 \)。</p>
<p>したがって、帰無仮説 \( H_0 \) は棄却されます。</p>
<p>結論:有意水準5%で、このダイエットプログラムには有意な体重減少効果があると言えます。</p>
<p class='step'>6. 選択肢の検討</p>
<p>計算された検定統計量は \( t = 4.00 \) であり、帰無仮説は棄却され「効果があると言える」という結論になりました。これに合致する選択肢は「t = 4.00, 効果があると言える」です。</p>
<p class='note'>対応のあるt検定は、個体差の影響を取り除くことができるため、独立な2群のt検定よりも検出力が高くなる傾向があります。ただし、差のデータが正規分布に従うという仮定が必要です。</p>