定積分とは
定積分は、関数 \(f(x)\) のグラフとx軸、そして指定された区間(この場合は \(x=0\) から \(x=1\))で囲まれた領域の「符号付き面積」を求める計算です。面積は通常正の値ですが、関数がx軸より下にある部分の面積は負として計算されます。
定積分の計算方法 (微積分学の基本定理)
関数 \(f(x)\) の原始関数(不定積分)の一つを \(F(x)\) とすると(つまり、\(F'(x) = f(x)\))、区間 \([a, b]\) における \(f(x)\) の定積分は、微積分学の基本定理により以下のように計算できます。
$ \int_{a}^{b} f(x) dx = [F(x)]_{a}^{b} = F(b) - F(a)$
つまり、まず原始関数 \(F(x)\) を求め、その関数に区間の上限 \(b\) と下限 \(a\) を代入した値の差を計算します。
不定積分 (原始関数) の計算ルール
多項式関数の不定積分を求めるには、以下のルールが用いられます。
- べき乗則 (Power Rule for Integration): \(\int x^n dx = \frac{x^{n+1}}{n+1} + C\) (\(n \neq -1\))
- 定数倍の法則: \(\int cf(x) dx = c \int f(x) dx\) (\(c\) は定数)
- 和・差の法則: \(\int (f(x) \pm g(x)) dx = \int f(x) dx \pm \int g(x) dx\)
- 定数の積分: \(\int k dx = kx + C\) (\(k\) は定数)
\(C\) は積分定数で、不定積分の場合に現れますが、定積分の計算では \(F(b) - F(a)\) の計算過程で相殺されるため考慮不要です。
設問の計算例
与えられた関数は \(f(x) = 3x^2 + 2x + 1\) で、積分区間は \([0, 1]\) です。
ステップ1: 原始関数 F(x) を求める
$ F(x) = \int (3x^2 + 2x + 1) dx \\
= 3 \left( \frac{x^3}{3} \right) + 2 \left( \frac{x^2}{2} \right) + x + C \\
= x^3 + x^2 + x + C$
定積分の計算では積分定数 \(C\) は無視できるため、\(F(x) = x^3 + x^2 + x\) として計算します。
ステップ2: F(b) - F(a) を計算する
積分区間の上限 \(b=1\) と下限 \(a=0\) を \(F(x)\) に代入します。
$ \int_{0}^{1} (3x^2 + 2x + 1) dx = [x^3 + x^2 + x]_{0}^{1} \\
= (1^3 + 1^2 + 1) - (0^3 + 0^2 + 0) \\
= (1 + 1 + 1) - (0) \\
= 3$
したがって、定積分の値は 3 です。
重要ポイント
- 不定積分と定積分: 不定積分は微分して元の関数になる「関数」を求める操作(積分定数Cが付く)、定積分は指定された区間での「値」を求める操作。
- 幾何学的意味: 定積分は関数のグラフとx軸で囲まれた領域の面積に対応する(x軸より下は負の面積)。
- 微積分学の基本定理: 微分と積分が互いに逆の操作であることを示す、微積分学の根幹をなす定理。
AI/機械学習における応用 (の基礎)
積分は、AIや機械学習の理論的背景において重要な役割を果たします。特に確率・統計分野で頻繁に登場します。
- 連続確率分布: 確率密度関数 (PDF) を特定の区間で積分することで、確率変数がその区間の値をとる確率を計算できます。例えば、正規分布の曲線の下の全面積は1になります。
- 期待値の計算: 連続確率変数の期待値(平均値)は、確率密度関数と確率変数の積を全範囲で積分することによって求められます。
これらの計算は、モデルの挙動を理解したり、ベイズ統計などのより高度な手法を扱う上で基礎となります。