解答と解説を表示
<h4>k-meansクラスタリングとは?</h4>
<p>k-meansは、与えられたデータセットを事前定義された数 \(k\) 個のクラスタ(グループ)に分割するための、代表的な<strong>教師なし学習</strong>アルゴリズムです。目的は、各クラスタ内のデータ点からそのクラスタ中心までの距離の二乗和(クラスタ内平方和)を最小化することです。データの中に潜む構造を発見するのに役立ちます。</p>
<h4>k-means アルゴリズムの反復ステップ</h4>
<p>k-meansは以下の2つのステップを交互に繰り返し、クラスタ中心がほとんど変化しなくなるまで続けます。</p>
<ol>
<li><strong>割り当てステップ (Assignment Step):</strong> 各データ点を、現在の \(k\) 個のクラスタ中心のうち、最も距離が近い中心に割り当てます。距離指標には通常、<strong>ユークリッド距離</strong>が用いられます。</li>
<li><strong>中心更新ステップ (Update Step):</strong> 各クラスタについて、そのクラスタに割り当てられた全てのデータ点の<strong>重心(各次元の座標値の平均)</strong>を計算し、それを新しいクラスタ中心とします。</li>
</ol>
<h4>計算ステップ</h4>
<p>この問題では、反復の途中段階を考えます。</p>
<p><strong>前提:</strong> 割り当てステップ (ステップ1) が完了し、クラスタへの点の割り当てが以下のようになっているとします。</p>
<ul>
<li>クラスタ1 (C1) に割り当てられた点: P1(1, 1), P2(4, 4), P3(6, 2)</li>
<li>クラスタ2 (C2) に割り当てられた点: P4(7, 5), P5(8, 3), P6(9, 6)</li>
</ul>
<p><strong>実行:</strong> 中心更新ステップ (ステップ2) を行い、クラスタ1の新しい中心 \(C1'\)を計算します。</p>
<p>クラスタ1の新しい中心は、P1, P2, P3 の座標の平均値(重心)です。</p>
<p><strong>新しいクラスタ1の中心 \(C1'\) の x座標:</strong></p>
<div class="formula">
$C1'_x = \frac{\text{クラスタ1の点のx座標の合計}}{\text{クラスタ1の点の数}} = \frac{1 + 4 + 6}{3} = \frac{11}{3} \approx 3.6666... $
</div>
<p>小数点以下3桁まで求めると、新しいクラスタ1の中心のx座標は <strong>3.667</strong> です。</p>
<p><strong>(参考) 新しいクラスタ1の中心 \\(C1'\\) の y座標:</strong></p>
<div class="formula">
$C1'_y = \frac{1 + 4 + 2}{3} = \frac{7}{3} \approx 2.333$
</div>
<p>したがって、新しいクラスタ1の中心は \(C1' \approx (3.667, 2.333)\) となります。この後、再び割り当てステップが行われます。</p>
<div class="key-point">
<div class="key-point-title">k-means の重要ポイント</div>
<ul>
<li><strong>用途:</strong> 顧客セグメンテーション、画像圧縮、異常検知の前処理など。</li>
<li><strong>シンプルで高速:</strong> 実装が容易で大規模データにも適用しやすい。</li>
<li><strong>初期値依存性:</strong> 最初のクラスタ中心の選び方で結果が変わる。k-means++ など改良手法がある。</li>
<li><strong>\(k\) の事前決定:</strong> クラスタ数 \(k\) を事前に指定する必要がある。エルボー法やシルエット係数で推定する。</li>
<li><strong>形状の仮定:</strong> 球状でサイズが同程度のクラスタを仮定。複雑な形状や密度の異なるクラスタは苦手。</li>
<li><strong>外れ値の影響:</strong> 外れ値に弱い。</li>
<li><strong>距離指標:</strong> ユークリッド距離が一般的だが、データの種類によっては他の距離(例: コサイン類似度)が適切な場合もある。</li>
</ul>
</div>