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<h4>標準正規分布とZ値とは?</h4>
<p><strong>標準正規分布</strong>は、平均が0、標準偏差(および分散)が1になるように標準化された正規分布です。釣鐘型で左右対称な形をしており、多くの自然現象や社会現象の分布を近似できるため、統計学で非常に重要です。</p>
<p><strong>Z値(Zスコア)</strong>は、データが標準正規分布の平均(0)から標準偏差(1)の何単位分離れているかを示す値です。Z値を使うことで、平均や標準偏差が異なる正規分布に従うデータを比較したり、確率を計算したりすることが容易になります。</p>
<p><strong>累積確率 \(P(Z \le z)\)</strong> は、標準正規分布に従う確率変数 \(Z\) が特定の値 \(z\) 以下となる確率です。これは、標準正規分布のグラフの下の面積で、左端から \(z\) までの部分に対応します。</p><h4>計算: \(P(Z \le z) = 0.975\) となるz値</h4>
<p>累積確率が0.975となる \(z\) 値を求めるということは、標準正規分布のグラフで、左側から数えて全体の97.5%の面積を占める位置の \(z\) 値を見つけることです。</p>
<p>これは、標準正規分布表(Z表)を使って求めることができます。</p>
<div class="formula">
$P(Z \le z) = 0.975 \implies z \approx 1.96$
</div>
<p>標準正規分布は対称的なので、これは右側の裾の面積が \(1 - 0.975 = 0.025\) (2.5%) となる点でもあります。</p><div class="key-point">
<div class="key-point-title">重要ポイント:z=1.96 の意味</div>
<p>\(z \approx 1.96\) は、特に以下の統計的推測の文脈で頻繁に現れる重要な値です。</p>
<ul>
<li><strong>95%信頼区間:</strong> 母平均などを推定する際、95%の確率で真の値が含まれるとされる区間(信頼区間)を計算するときに使用されます。標準正規分布では、平均±1.96標準偏差の範囲 ([-1.96, 1.96]) に全体のデータの95%が含まれます(左右の裾にそれぞれ2.5%)。</li>
<li><strong>両側仮説検定(有意水準5%):</strong> 帰無仮説(例: 「差がない」)を検定する際に、有意水準を5% \(\alpha = 0.05\) と設定した場合の棄却域の境界値(臨界値)となります。計算された統計量(Z値など)の絶対値が1.96を超えると、「偶然では起こりにくい」と判断し、帰無仮説を棄却します。</li>
</ul>
</div>