ベイズファクターの数学的定義
ベイズファクターは、2つの仮説$H_1$と$H_2$に対するデータ$D$の相対的支持度を表す尤度比です:
$BF_{12} = \frac{P(D|H_1)}{P(D|H_2)} = \frac{\text{仮説}H_1\text{の下でのデータの尤度}}{\text{仮説}H_2\text{の下でのデータの尤度}}$
ベイズの定理による事後確率計算
Step 1: ベイズの定理の適用
各仮説の事後確率は:
$\begin{align}P(H_1|D) &= \frac{P(D|H_1)P(H_1)}{P(D)} \\P(H_2|D) &= \frac{P(D|H_2)P(H_2)}{P(D)}\end{align}$
Step 2: 事後オッズの計算
事後オッズは事前オッズとベイズファクターの積:
$\frac{P(H_1|D)}{P(H_2|D)} = \frac{P(D|H_1)P(H_1)}{P(D|H_2)P(H_2)} = \frac{P(D|H_1)}{P(D|H_2)} \times \frac{P(H_1)}{P(H_2)} = BF_{12} \times \frac{P(H_1)}{P(H_2)}$
Step 3: 数値計算
事前確率が等しい場合($P(H_1) = P(H_2) = 0.5$):
$\frac{P(H_1|D)}{P(H_2|D)} = 4 \times \frac{0.5}{0.5} = 4 \times 1 = 4$
事後確率の導出
Step 4: 正規化条件の利用
事後確率の和は1になるため:
$P(H_1|D) + P(H_2|D) = 1$
事後オッズの関係式$P(H_1|D) = 4P(H_2|D)$を代入:
$4P(H_2|D) + P(H_2|D) = 1 \Rightarrow 5P(H_2|D) = 1 \Rightarrow P(H_2|D) = \frac{1}{5} = 0.2$
したがって:
$P(H_1|D) = 4 \times 0.2 = 0.8$
ベイズファクターの解釈基準
ベイズファクターの証拠の強さ
| $BF_{12}$の値 | $H_1$に対する証拠 | 解釈 |
|---|
| 1 - 3 | 弱い証拠 | ほとんど価値なし |
| 3 - 10 | 中程度の証拠 | 実質的な支持 |
| 10 - 30 | 強い証拠 | 強力な支持 |
| 30 - 100 | 非常に強い証拠 | 決定的な支持 |
| > 100 | 強い証拠 | 圧倒的な支持 |
頻度論的検定との比較
Step 5: ベイズファクター vs p値
| 特徴 | ベイズファクター | p値 |
|---|
| 解釈 | 仮説間の相対的支持度 | 帰無仮説に対する証拠の強さ |
| 事前情報 | 組み込み可能 | 考慮しない |
| 仮説の扱い | 対称的 | 帰無仮説が特別 |
| 標本サイズ | 自動的にペナルティ | 大標本で小さくなる傾向 |
| 意思決定 | 証拠の蓄積 | 閾値による二分法 |