<p>2つの母平均の差の信頼区間を求める問題です。</p><p class='step'>1. 問題の整理</p><p>与えられた情報:</p><ul><li>第1の標本: サイズ $n_1 = 25$、平均 $\bar{x}_1 = 80$、標準偏差 $s_1 = 10
lt;/li><li>第2の標本: サイズ $n_2 = 36$、平均 $\bar{x}_2 = 75$、標準偏差 $s_2 = 12
lt;/li><li>求める信頼水準: 95%</li></ul><p class='step'>2. 適切な分布の選択</p><p>2つの独立な正規母集団の母平均の差 $\mu_1 - \mu_2$ の信頼区間を求める場合、母分散が未知であれば t分布を用います。ただし、2つの母分散が等しいかどうかによって計算方法が異なります。</p><p>この問題では母分散が等しいという情報がないため、ウェルチの方法(分散が等しくない場合の方法)を使用します。</p><p class='step'>3. 信頼区間の公式(ウェルチの方法)</p><p>母平均の差 $\mu_1 - \mu_2$ の $(1-\alpha)\times 100\%$ 信頼区間は次の式で与えられます:</p><p class='formula'>$(\bar{x}_1 - \bar{x}_2) \pm t_{\nu, \alpha/2} \sqrt{\frac{s_1^2}{n_1} + \frac{s_2^2}{n_2}}
lt;/p>
<p>ここで、$t_{\nu, \alpha/2}$ は自由度 $\nu$ の t分布の上側 $\alpha/2$ 点です。自由度 $\nu$ はウェルチ・サタスウェイトの式で近似されます:</p>
<p class='formula'>$\nu \approx \frac{\left(\frac{s_1^2}{n_1} + \frac{s_2^2}{n_2}\right)^2}{\frac{(s_1^2/n_1)^2}{n_1-1} + \frac{(s_2^2/n_2)^2}{n_2-1}}
lt;/p><p class='step'>4. 計算</p><p>まず、標準誤差を計算します:</p><p class='formula'>$SE = \sqrt{\frac{s_1^2}{n_1} + \frac{s_2^2}{n_2}} = \sqrt{\frac{10^2}{25} + \frac{12^2}{36}} = \sqrt{\frac{100}{25} + \frac{144}{36}} = \sqrt{4 + 4} = \sqrt{8} \approx 2.83
lt;/p><p>次に、自由度 $\nu$ を計算します:</p><p class='formula'>$\nu \approx \frac{(4 + 4)^2}{\frac{4^2}{24} + \frac{4^2}{35}} = \frac{64}{\frac{16}{24} + \frac{16}{35}} = \frac{64}{0.667 + 0.457} = \frac{64}{1.124} \approx 56.94
lt;/p>
<p>自由度を整数に丸めて $\nu = 57$ とします。</p>
<p>95%信頼区間の場合、$\alpha = 0.05$ なので、$\alpha/2 = 0.025$ となります。</p>
<p>$t_{57, 0.025} \approx 2.002$ (t分布表または統計ソフトウェアから)</p>
<p>したがって、95%信頼区間は:</p>
<p class='formula'>$(80 - 75) \pm 2.002 \times 2.83 = 5 \pm 5.666 = [-0.666, 10.666]
lt;/p>
<p class='note'>この結果は、2つの母平均の差 $\mu_1 - \mu_2$ の95%信頼区間が約 [-0.67, 10.67] であることを示しています。この区間には0が含まれているため、有意水準5%で2つの母平均に有意差があるとは言えません。ただし、この問題では信頼区間の計算のみが求められています。</p>
<p>したがって、2つの母平均の差 $\mu_1 - \mu_2$ の95%信頼区間の下限は -0.67(小数第2位まで)です。</p>