二変量正規分布における無相関と独立の関係性についての問題です。
一般の確率分布においては、「独立ならば無相関」は常に成り立ちますが、「無相関ならば独立」は必ずしも成り立ちません。しかし、確率変数が多変量正規分布に従う場合には、無相関と独立は同値になります。
1. 一般的な確率分布における独立と無相関
- 独立 ⇒ 無相関: 2つの確率変数 X と Y が独立であるとは、任意のx, yに対して \( P(X \le x, Y \le y) = P(X \le x)P(Y \le y) \) (同時分布が周辺分布の積) が成り立つことです。独立ならば、\( E[XY] = E[X]E[Y] \) が成り立ち、共分散 \( Cov(X,Y) = E[XY] - E[X]E[Y] = 0 \) となるため、無相関です。
- 無相関 ⇏ 独立: 無相関(共分散が0、相関係数が0)であっても、必ずしも独立であるとは限りません。例えば、Xが一様分布 U(-1,1) に従い、Y=X² である場合、Cov(X,Y)=0 ですが、YはXに依存しているため独立ではありません。
2. 多変量正規分布(特に二変量正規分布)の場合
確率変数 (X, Y) が二変量正規分布に従う場合、その分布は平均ベクトル \( (\mu_X, \mu_Y) \)、分散共分散行列 \( \begin{pmatrix} \sigma_X^2 & \rho\sigma_X\sigma_Y \\ \rho\sigma_X\sigma_Y & \sigma_Y^2 \end{pmatrix} \) で特徴づけられます。ここで \( \rho \) は相関係数です。
この二変量正規分布において、相関係数 \( \rho = 0 \)(すなわち無相関)であることと、X と Y が独立であることは同値になります。つまり、同時確率密度関数が \( f(x,y) = f_X(x)f_Y(y) \) と周辺密度関数の積に分離できるのは、\( \rho = 0 \) のとき、またそのときに限ります。
3. 選択肢の検討
- 選択肢0: 一般には成り立たない。二変量正規分布の場合に限定すれば正しい。
- 選択肢1: 「独立ならば無相関」は常に正しい。「逆は必ずしも成り立たない」も一般には正しい。しかし、二変量正規分布の文脈では逆も成り立つ。
- 選択肢2: これが正しい。二変量正規分布という条件下では、無相関と独立は同値です。
- 選択肢3: 誤り。前半も後半も一般的ではない。
- 選択肢4: 誤り。二変量正規分布の場合、相関係数が0であれば必ず独立になります。