回帰分析編

回帰分析の基礎や評価指標についての知識を確認します

交互作用 レベル1

二元配置分散分析における交互作用について、正しい記述はどれか。

解説
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<p>二元配置分散分析における交互作用に関する問題です。</p><p class='step'>1. 二元配置分散分析の基本概念</p> <p>二元配置分散分析(Two-way ANOVA)は、2つの因子(独立変数)が応答変数に与える影響を同時に分析する統計的手法です。この分析では、以下の3つの効果を評価します:</p> <ul> <li>因子Aの主効果:因子Bの影響を考慮した上での、因子Aの効果</li> <li>因子Bの主効果:因子Aの影響を考慮した上での、因子Bの効果</li> <li>交互作用効果:因子Aと因子Bの組み合わせによる追加的な効果</li> </ul><p class='step'>2. 交互作用の定義</p> <p>交互作用(Interaction)とは、一方の因子の効果が他方の因子の水準によって変化する現象を指します。つまり、2つの因子の効果が単純に加算的ではなく、互いに依存している状態です。</p><p>例えば、肥料(因子A)と水の量(因子B)が植物の成長(応答変数)に与える影響を考えると:</p> <ul> <li>交互作用がない場合:肥料の効果は水の量に関係なく一定であり、水の量の効果は肥料の種類に関係なく一定です。</li> <li>交互作用がある場合:肥料の効果は水の量によって変化し、例えば、水が多い条件では肥料Xが最も効果的だが、水が少ない条件では肥料Yが最も効果的、といった状況が生じます。</li> </ul><p class='step'>3. 交互作用の視覚化と解釈</p> <p>交互作用は、交互作用プロット(Interaction Plot)を用いて視覚化することができます。このプロットでは、横軸に一方の因子の水準、縦軸に応答変数の平均値をとり、もう一方の因子の各水準に対して線を引きます。</p><p>交互作用プロットの解釈:</p> <ul> <li>線が平行である場合:交互作用はない(または弱い)</li> <li>線が平行でない場合:交互作用がある</li> <li>線が交差する場合:強い交互作用がある</li> </ul><p class='step'>4. 選択肢の検討</p> <p>各選択肢について検討します:</p><ol> <li>「交互作用とは、2つの主効果の和のことである」:誤りです。交互作用は主効果の和ではなく、2つの因子の組み合わせによる追加的な効果を指します。数学的には、交互作用は主効果の和では説明できない部分です。</li><li>「交互作用がある場合、一方の因子の効果は他方の因子の水準によって変化する」:正しいです。これは交互作用の定義そのものです。</li><li>「交互作用は常に主効果よりも重要である」:誤りです。交互作用の重要性は状況によって異なります。場合によっては主効果の方が重要なこともあれば、交互作用の方が重要なこともあります。</li><li>「交互作用がある場合、主効果の解釈は常に無意味になる」:誤りです。交互作用がある場合、主効果の解釈には注意が必要ですが、必ずしも無意味になるわけではありません。特に、序数的交互作用(線が交差しない場合)では、主効果の解釈も有意義です。</li><li>「交互作用は3つ以上の因子がある場合にのみ発生する」:誤りです。交互作用は2つの因子間でも発生します。3つ以上の因子がある場合は、2因子間の交互作用に加えて、3因子間の交互作用なども考慮することになります。</li> </ol><p class='note'>交互作用の重要性と分析上の注意点:</p> <ul> <li><strong>モデルの適合度</strong>:交互作用を含めることで、モデルの適合度が向上することがあります。しかし、不必要な交互作用を含めると、モデルが過適合(overfitting)になる可能性があります。</li><li><strong>主効果と交互作用の解釈</strong>:有意な交互作用がある場合、主効果の解釈は条件付きになります。つまり、「因子Aの効果は因子Bの水準によって異なる」という形で解釈する必要があります。</li><li><strong>単純主効果の分析</strong>:有意な交互作用がある場合、各因子の効果を他方の因子の特定の水準ごとに分析する「単純主効果の分析」が有用です。</li><li><strong>多重比較</strong>:交互作用が有意な場合、どの組み合わせ間に差があるかを特定するために、多重比較法を用いることがあります。</li><li><strong>グラフィカル表現</strong>:交互作用の理解と解釈には、交互作用プロットや箱ひげ図などのグラフィカル表現が非常に役立ちます。</li> </ul><p>したがって、二元配置分散分析における交互作用について正しい記述は「交互作用がある場合、一方の因子の効果は他方の因子の水準によって変化する」です。</p>
問題 1/10
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