母分散の検定を行う問題です。
1. 仮説の設定
問題文から、以下の仮説を設定します:
- 帰無仮説 $H_0$: $\sigma^2 = 4$ (母分散は4である)
- 対立仮説 $H_1$: $\sigma^2 \neq 4$ (母分散は4ではない)
これは両側検定です。
2. 検定統計量の計算
母分散の検定では、カイ二乗検定を用います。検定統計量 $\chi^2$ は以下の式で計算されます:
$\chi^2 = \frac{(n-1)s^2}{\sigma_0^2}$
ここで、$n$ は標本サイズ、$s^2$ は標本分散、$\sigma_0^2$ は帰無仮説で仮定される母分散です。
与えられた情報を代入します:
- $n = 16$
- $s^2 = 7.2$
- $\sigma_0^2 = 4$
$\chi^2 = \frac{(16-1) \times 7.2}{4} = \frac{15 \times 7.2}{4} = \frac{108}{4} = 27$
3. 臨界値と決定ルール
有意水準5%の両側検定では、自由度 $df = n - 1 = 16 - 1 = 15$ のカイ二乗分布の両側2.5%点と比較します。
カイ二乗分布表から:
- 下側2.5%点: $\chi^2_{0.025, 15} \approx 6.262$
- 上側2.5%点: $\chi^2_{0.975, 15} \approx 27.488$
計算された検定統計量 $\chi^2 = 27$ は、下側臨界値 $\chi^2_{0.025, 15} \approx 6.262$ より大きく、上側臨界値 $\chi^2_{0.975, 15} \approx 27.488$ より小さいです。したがって、有意水準5%では帰無仮説を棄却できません。
4. p値の計算
両側検定のp値は、カイ二乗分布において、観測された検定統計量よりも極端な値が得られる確率の2倍です。
$\chi^2 = 27$ は上側臨界値に近いため、p値は以下のように計算されます:
$p\text{値} = 2 \times P(\chi^2_{15} > 27) \approx 2 \times 0.0286 \approx 0.0572$
この計算では、$p\text{値} \approx 0.0572 > 0.05$ となり、有意水準5%では帰無仮説を棄却できません。
5. 選択肢の検討
選択肢3「帰無仮説を棄却しない(0.05 ≤ p値 < 0.10)」が最も適切です。計算されたp値は約0.0572であり、0.05と0.10の間にあります。したがって、有意水準5%では帰無仮説を棄却しません。
母分散の検定では、カイ二乗分布が非対称であるため、両側検定の場合は上側と下側の臨界値が対称にはなりません。また、標本サイズが小さい場合は、正規性の仮定に敏感になるため、データが正規分布に従うという仮定が重要になります。
したがって、帰無仮説 $H_0$: $\sigma^2 = 4$ に対する結論として正しいものは「帰無仮説を棄却しない(0.05 ≤ p値 < 0.10)」です。