この問題では、対象母集団と標本を取り違えないことが核心です。調査の結論を「誰に対して述べたいのか」を先に決めてから、実際に観測した人たちを標本と呼びます。
対象母集団とは何か
対象母集団(ターゲット母集団)は、調査結果を適用したい全体です。「回答してくれた人」「調査票を配れた学校」ではなく、知りたい対象そのものを指します。本問では「全国の高校生の通学時間を知りたい」と目的が明示されているので、対象母集団は調査時点の全国の高校生です。
正解の理由
知りたいのは全国の高校生の通学時間です。したがって、結論を当てはめたい全体は調査時点の全国の高校生です。実際に回答した人は、その母集団から得られた標本(または標本の一部)であり、母集団そのものではありません。
他の選択肢が誤りである理由
- 回答した高校生だけ: これは標本側の話です。回答者を母集団にしてしまうと、「答えてくれた人の通学時間」しか言えなくなり、調査目的とずれます。
- 調査票を配った学校だけ: 配布できた学校は、調査の実施範囲(到達できた枠)です。全国の高校生へ一般化したいなら、対象母集団を実施範囲に縮小してはいけません。
- 通学時間が長い高校生だけ: 関心のある一部だけを母集団にすると、最初から偏った結論になります。母集団は「知りたい全体」であり、「目立つ一部」ではありません。
3級で押さえる用語の役割
- 対象母集団:結論を適用したい全体
- 標本:実際に調べた一部
- 標本の大きさ:標本に含まれる人数や件数
人数の大小だけでなく、役割で区別します。
2級・準1級への橋渡し: 2級では、母平均や母比率の推定・検定を行う前に「どの母集団のパラメータか」を固定します。準1級では、対象母集団と実際の名簿(標本枠)がずれるカバレッジ誤差、回答しない人による欠測を分けて考えます。3級ではまず「知りたい全体」と「実際に観測した一部」を混同しないことが土台です。
したがって、対象母集団は調査時点の全国の高校生です。