無作為に選んでも、出発点の名簿に載っていない人は最初から選ばれません。この問題は「乱数で選んだ=市内全世帯を代表する」とは限らない、という標本調査の基本です。
標本枠から漏れるとは
標本を選ぶには、候補者の名簿やリストが必要です。このリストを標本枠と呼びます。標本枠に含まれない集団は、乱数を使っても選ばれる機会が0です。本問の標本枠は固定電話帳なので、固定電話を持たない世帯や、電話帳に掲載していない世帯は最初から漏れます。
正解の理由
調査目的は市内全世帯の防災意識です。しかし抽出は固定電話帳から行っています。電話帳にない世帯は選ばれないため、その世帯へ結果を適用するのは特に危険です。専門語を暗記するより、「誰が最初から選ばれないか」を確認する読み方が3級では重要です。
他の選択肢が誤りである理由
- 固定電話帳に掲載された世帯: この集団は標本枠に入っているので、無作為抽出がうまくいけば比較的適用しやすい対象です。
- 回答した世帯: 回答者は実際に観測した標本です。適用しにくいのは「選ばれなかった側」です。
- 調査員が訪問した世帯: 訪問できた世帯も観測側です。問題の核心は、訪問以前に名簿から外れている世帯です。
偏りは抽出の公平さだけでは消えない
同じ名簿の中で乱数を使えば、名簿内での選び方は公平に近づけられます。しかし名簿自体が市内全世帯を覆っていなければ、漏れによる偏りが残ります。無作為抽出は「枠の中」を公平にする操作であり、「枠の外」を救いません。
2級・準1級への橋渡し: 2級では、標本誤差(たまたまのばらつき)と偏り(系統的なずれ)を区別します。標準誤差を小さくしても、標本枠の漏れは消えません。準1級の標本調査論では、対象母集団と標本枠のずれをカバレッジ誤差として扱い、層化や推定の工夫で補正することを学びます。3級では「名簿にいない人は選ばれない」を具体例で見抜ければ十分です。
したがって、特に適用しにくいのは固定電話を持たない、または電話帳に掲載していない世帯です。