「無作為」という言葉が2つ出てきますが、目的が違います。誰を調べるかと誰にどの処理を与えるかを混ぜないことがこの問題の急所です。
2つの無作為化
統計学では、偶然の仕組みを2つの場面で使います。
- 無作為抽出: 母集団から標本を選ぶ操作。各対象が選ばれる機会を公平に近づけ、結果を母集団へ一般化しやすくします。
- 無作為割付: すでに集まった参加者を、処理群・対照群などへ分ける操作。開始前の能力や意欲が一方の群に偏りにくくし、処理の効果を比較しやすくします。
正解の理由
無作為抽出は「標本を選ぶ」、無作為割付は「参加者を処理条件へ分ける」です。どちらも乱数を使いますが、抽出は代表の話、割付は比較の公平さの話です。3級ではこの役割の違いを具体例で区別します。
他の選択肢が誤りである理由
- どちらも母集団から標本を選ぶ: 無作為割付は標本選びではありません。教室に来た60人を2群へ分ける操作は、母集団からの抽出ではありません。
- 無作為割付は母集団の人数を数える: 人数を数えるのは全数調査や名簿作成の話で、割付とは無関係です。
- 無作為抽出をすれば対照群は不要: 抽出は「誰を調べるか」であり、処理の比較に必要な対照群の代わりにはなりません。実験では対照群が別途必要です。
混同しやすいポイント
良い標本(無作為抽出)でも、希望者を新教材へ、残りを旧教材へ分ければ比較は歪みます。逆に、実験の割付が公平でも、参加者が特定の学校の希望者だけなら、全国の生徒へそのまま一般化はできません。抽出と割付は片方では代用できません。
2級・準1級への橋渡し: 2級では、無作為抽出が標本平均の標本分布(平均$\mu$、分散$\sigma^2/n$)の前提になります。一方、因果の話は観察研究と実験の区別として出ます。準1級では、無作為割付のある実験を因果推論の基準(ランダム化比較試験)として扱い、観察データでは交絡の調整が必要になると学びます。3級では「選ぶ」と「分ける」を言葉で区別できれば十分です。
したがって、無作為抽出は標本を選び、無作為割付は参加者を処理条件へ分けます。