観察研究で「一緒に動いている」ことと、「一方が他方の原因である」ことは別です。この問題は、相関(関連)から因果を飛躍しないための典型です。
観察研究で因果を断定しにくい理由
観察研究では、研究者が睡眠時間を割り当てません。普段の睡眠と得点を記録するだけです。そのとき、勉強時間・生活リズム・健康状態など第三の要因が、睡眠時間と得点の両方に効いている可能性があります。この第三の要因を交絡要因と呼びます。
たとえば勉強時間が長い人は、生活が安定して睡眠も長く、得点も高い、という経路があり得ます。その場合、睡眠を増やしても勉強時間が変わらなければ、得点は上がらないかもしれません。
正解の理由
「睡眠時間を増やせば得点が上がる」は介入の効果(因果)の主張です。観察された正の関連だけでは、勉強時間など別の要因が両方に関係している可能性を排除できません。したがって断定できません。
他の選択肢が誤りである理由
- 得点が数値だから: 量的データであることは因果の可否と無関係です。
- 相関が正だから: 正の相関は「同じ方向に動く」ことしか言いません。原因の向きも、第三要因の有無も決まりません。
- 標本に複数人いるから: 人数があることは関連を観察する条件ですが、因果の保証ではありません。
関連・相関・因果
- 関連・相関: 2つの変数が一緒に動く(観察研究でも分かる)
- 因果: 一方を変えると他方が変わる(実験の無作為割付があると主張しやすい)
「関連がある」は重要です。しかし観察研究だけでは、原因なのか、結果なのか、別の要因の影なのかを切り分けにくい、と覚えます。
2級・準1級への橋渡し: 2級では散布図と相関係数を学んだあと、回帰の解釈で「予測」と「因果」を分けます。準1級では交絡の調整、層別、実験計画による無作為割付を本格的に扱います。3級では「観察された傾向=介入すればそうなる」と短絡しないことが合格の分岐点です。
したがって、断定できない主な理由は勉強時間など別の要因が両方に関係している可能性です。