ANOVA表のF判定
分野: 図表読解
一元配置ANOVA表から、全体のF検定の棄却可否までを読む問題です。棄却の意味は「少なくとも1つの平均が違う」までで、どの対が違うかの特定ではありません。統合的な箱ひげとの併用は後の問に回します。
1. 仮説
$H_0:\mu_1=\mu_2=\mu_3=\mu_4$(すべての群平均が等しい)
$H_1:$ 少なくとも1つの $\mu_i$ が他と異なる
2. 表の検算
群間 df は $k-1=3$、群内 df は $N-k=36$、$N=40$ です。平均平方は平方和÷自由度で $54/3=18$、$162/36=4.5$。Fは
$F=MSB/MSW=18.0/4.5=4.00$
全体平方和 54+162=216、全体 df 3+36=39 も整合しています。
3. 棄却判定
臨界値 $F_{0.05}(3,36)\approx2.87$ より観測F=4.00は大きいので、有意水準5%で $H_0$ を棄却します。p値がなくても、臨界値と比較すれば判定できます。
4. 棄却の意味と限界
棄却は「4平均が全部同じではない」です。4つすべてが互いに違う、Aだけが高い、などの特定は多重比較(Tukeyなど)が必要です。本表には対比較がありません。
5. 選択肢の検討
- 全ペアが異なる → 誤り。全体Fの過大解釈です。
- F>1なら差がない → 誤り。Fの帰無分布の平均はおよそ1ですが、棄却は臨界値との比較です。
- 少なくとも1群が異なる。ペアは未確定 → 正しい。
- pがないと判断不能 → 誤り。臨界値が与えられています。
- MSWが小さいので棄却できない → 誤り。MSB>MSWでF>1になっており、実際は棄却側です。
ANOVA棄却=「全部同じ」の否定
表では df と平均平方、F、臨界値の3点を必ず検算する。どの群が違うかは次の分析です。
等分散・独立性・おおむねの正規性が前提です。本問は表の読み取りが本体なので、前提診断は別問とします。
6. 表を読む順番
まず df が $k-1$ と $N-k$ になっているか、平方和が加法的か、平均平方=平方和/df か、F=MSB/MSW かを検算します。次に臨界値またはpと比較します。本表はすべて整合し、F=4.00>2.87 です。
棄却後に「教材Dが最良」などと書くのは、対比較も効果量もなしの飛躍です。教材が4つなら対は6通りあり、どれか1つが違うだけでも全体Fは有意になり得ます。p値が表になくても、臨界値が問題文にあれば判定できます。ソフトウェア出力ではpを読む方が普通です。
一元配置の前提(独立、おおむね正規、等分散)が崩れるとFの名目αがずれます。本問は表の論理が本体です。
F表は「全体の扉」だけを開きます。4群なら差のパターンは多数あり、表の1つのFでは識別できません。臨界値2.87との比較で棄却し、対比較は次工程へ送る。p値がなくても判定できること、F>1は棄却基準ではないこと、MSB>MSWはF>1と同義で棄却そのものではないこと、が誤答の整理です。
平均平方の比がFである理由は、H0のもとでMSBとMSWが同じ誤差分散の推定になるからです。群平均が本当に違うとMSBだけが膨らみ、比が1から離れます。臨界値は『誤差だけでこれ以上の比が偶然出る確率が5%』の境界です。F=4はその境界2.87を超えた、という以上の情報をペアについては持ちません。
F=4.00>2.87で棄却し、結論は少なくとも1群が異なる、までです。全ペア差、F>1なら差なし、p必須、MSWが小さいから保留、は表の読みを飛ばしています。
したがって、最も適切なのは「棄却され少なくとも1群が異なるが、どのペアかは未確定」です。