層化の比例割当人数
この問題では、層化抽出の比例割当だけを計算します。層の分散を使うネイマン配分は出しません。
1. 比例割当の定義
層 $h$ の母集団サイズを $N_h$、全体を $N=\sum N_h$、全体の標本サイズを $n$ とすると、層 $h$ の標本サイズは
$$n_h = n \times \dfrac{N_h}{N}$$
です。大きい層ほど多く取り、各層の抽出率 $n_h/N_h$ は共通で $n/N$ になります。
2. 与えられた数値
- 旧市街 $N_1=180$
- 新興住宅 $N_2=270$(求める層)
- 工業団地周辺 $N_3=450$
- 全体 $n=90$
まず $N$ を確認します。
$$N = 180 + 270 + 450 = 900$$
3. 新興住宅の人数
$$n_2 = 90 \times \dfrac{270}{900} = 90 \times 0.3 = 27$$
整数なので切り上げ・四捨五入は不要です。検算として他層も計算すると、旧市街 $90\times 180/900=18$、工業団地 $90\times 450/900=45$ です。
$$18+27+45=90$$
合計が全体の標本サイズに一致します。
比例割当とネイマン配分の違い
- 比例割当:層の大きさだけを使う。2級でまず覚える配分
- ネイマン配分:層の大きさに加え、層内分散が大きい層へ標本を厚くする。本問では使わない
認知率が地区で違う見込みがあっても、比例割当は「地区の世帯構成を標本にも反映する」ことが目的です。分散の情報がなければ、この配分が標準的です。
4. 抽出率の確認
共通の抽出率は $90/900=0.1$ です。新興住宅からも $270\times 0.1=27$ となり、同じ答えです。
5. 端数が生じた場合
本問は $90\times 270/900=27$ と割り切れるようにしてあります。割り切れないときは、まず四捨五入し、合計が $n$ になるよう最大剰余法などで1人単位を調整します。2級では、比例式 $n_h=n N_h/N$ を正しく書き、指定された層の人数を出すことが中心です。
ネイマン配分は $n_h \propto N_h \sigma_h$ の形で、ばらつきの大きい層へ厚く配ります。認知率の分散が地区で違うという情報は本問になく、使ってはいけません。層の大きさだけを使うのが比例割当です。
旧市街18、新興住宅27、工業団地45は、世帯構成比 $180:270:450=2:3:5$ を90に掛けた $18:27:45$ と同じです。比で計算しても、抽出率0.1を掛けても、答えは27で一致します。監査時はどちらの経路でも再現できます。
比例割当は「大きい地区を厚く取る」ので、小さい旧市街は18世帯と少なくなります。旧市街だけの認知率を同じ精度で言いたい場合は、比例ではなく旧市街へ上乗せします。本問は全市の推定が目的なので比例が適切です。
新興住宅の構成比は $270/900=3/10$ です。90の3割が27、と暗算しても同じです。層の番号を取り違えて旧市街18や工業団地45を答えないよう、問題が指定した層(新興住宅)を確認します。
答えは27世帯です。比例割当は層の大きさに比例させるだけなので、分散の数値は不要です。指定層を取り違えないことと、$n_h$ の合計が90になることの二点を検算します。ネイマン配分の式は本問では使いません。工業団地が大きいからといって新興住宅の人数を変えてはいけません。全市の構成比を標本に転写するのが比例割当の役割です。
6. 指定層の取り違えと比例割当の使いどころ
旧市街十八、新興住宅二十七、工業団地四十五は、世帯構成比をそのまま九十に写したものです。問題が指定した層は新興住宅なので、大きい工業団地の四十五や小さい旧市街の十八を答えてはいけません。全市の認知率を推定する目的なら比例割当が標準です。旧市街だけの精度を全市と同じにしたい場合は、小さい層へ上乗せする不均等割当を別途設計します。統計検定二級では、比例割当とネイマン配分の式の使い分けが問われます。層内分散の数値が与えられていない本問では、ネイマン配分は使えません。
したがって、新興住宅層から抽出する世帯数は27です。