この問題では、ローレンツ曲線と、そこから定義されるジニ係数の読み方を定着させます。所得や資産の分布を「誰がどれだけ持っているか」という累積の言葉で見る図表です。
ローレンツ曲線は何を積んでいるか
横軸は所得の低い方から数えた人口の累積割合、縦軸は同じ順序で積んだ所得の累積割合です。図の点は五分位なので、左から20%、40%、60%、80%、100%の位置にマーカーがあります。見るべきは、(1) 破線の平等線、(2) 実線のローレンツ曲線、(3) その間の面積、の3つです。
Step 1: 平等線(対角線)の意味
すべての世帯が同じ所得なら、人口の下位20%は所得の20%を持ちます。このとき曲線は対角線と一致します。ジニ係数は0です。対角線より上に来ることは、累積の定義上あり得ません(所得を低い順に積むため)。
Step 2: 図上の具体的な点を読む
横軸0.2の位置まで目を移し、青い点の高さを読むと縦軸は0.05です。つまり下位20%の世帯が所得の5%しか持っていません。横軸0.8では縦軸0.55なので、下位80%で所得の55%、裏を返せば上位20%が所得の45%を持ちます。
$$G = 1 - 2A_{\text{ローレンツの下}}$$
台形公式で曲線の下の面積を概算すると、各幅0.2について $(0+0.05)/2$、$ (0.05+0.15)/2$、$ (0.15+0.32)/2$、$ (0.32+0.55)/2$、$ (0.55+1)/2$ を0.2倍して足し、$A\approx 0.314$、よって $G\approx 1-2\times 0.314=0.372$ です。0と1の間で、完全平等でも完全集中でもありません。
Step 3: 選択肢の検討
- 完全平等なら対角線より上: 誤りです。平等は対角線そのものです。上側は定義と矛盾します。
- 下位20%が所得の55%: 横軸0.8の点(0.55)を、0.2の点と取り違えています。図では左端近くの点を見てください。
- 下位20%が約5%、乖離は不平等: 正しいです。対角線より下に膨らむほど不平等が大きい、という読みです。
- ジニ係数は必ず1: 1は「1世帯が全所得を独占」に近い極端です。本図の乖離は中程度です。
- 対角線に近いほど不平等が大きい: 逆です。近いほど平等に近いです。
図表のどこを見るか
まず凡例で平等線とローレンツ曲線を区別し、次に横軸0.2・0.8など切りのよい点の縦座標を読みます。ジニ係数は「対角線と曲線の間の面積」の2倍、と面積のイメージで結びます。
したがって、下位20%が所得の約5%を占め、対角線からの乖離が不平等を示す、が最も適切です。
ジニ係数を面積でイメージする
対角線とローレンツ曲線で囲まれた領域を$B$、曲線の下側を$A$とすると、正方形の面積は1なので $A+B=1/2$、ジニ係数は $G=2B=1-2A$ です。本図では下位ほど曲線が低く、$B$ が目に見える厚みを持ちます。完全平等なら $B=0$、$G=0$。1点が全所得を持てば曲線は右下の角を通り $G=1$ に近づきます。図を見るときは「下位20%の点は対角線(0.2,0.2)よりどれだけ下か」をまず測ると、5%対20%というギャップが手に取れます。
所得以外にも、売上の集中、アクセス回数の偏りなど、非負で合計が意味を持つ量にローレンツ曲線は使えます。ただし負の値や、順序の付け方を変えると曲線の意味が壊れます。2級では「累積割合の対応」と「対角線からの乖離=不平等」を確実に読み、ジニは面積の要約だと覚えます。