残差プロットは、回帰の仮定を目で検査する図です。横軸に適合値 $\hat{y}$、縦軸に残差 $e=y-\hat{y}$ を取ります。理想は、残差0の水平線の上下に、幅がほぼ一定でパターンのない散らばりです。
漏斗(ファン)型が示すもの
本図では、左(適合値20付近)では残差が±2程度、右(70付近)では±18〜20まで振れています。点がプラス印で、0の破線をまたぎながら右へ行くほど縦方向の幅が広がる漏斗型です。これは誤差分散が適合値とともに増える分散不均一(ヘテロスケダスティシティ)の典型です。
Step 1: 図のどこを見るか
まず破線(残差0)を水平の基準にします。次に、左端の点の縦の広がりと右端の広がりを比べます。幅が系統的に変わるなら等分散ではありません。U字や逆U字なら、幅ではなく平均的な残差の位置が曲線を描き、線形性の欠如を疑います。
Step 2: 等分散が崩れると何が困るか
通常の最小二乗の標準誤差やt検定は、誤差分散が一定という仮定に依存します。漏斗型のまま係数のp値を読むと、有意性の判断が歪み得ます。対応としては、目的変数の変換、加重最小二乗、頑健標準誤差などがあります(2級では「仮定が疑わしい」と指摘できれば十分です)。
Step 3: 選択肢の検討
- ランダムで問題なし: 右に行くほど振幅が増えており、ランダム一定幅ではありません。
- 散らばりが広がり等分散が疑わしい: 正しいです。漏斗型の標準的な読みです。
- U字で線形性だけ: 本図はU字ではなく、0をまたぐ振幅の拡大です。線形性の診断とは別パターンです。
- 交互なので全部外れ値: 符号が交番すること自体は、0の周りに散るなら異常ではありません。外れ値判定は個別の大きさで行います。
- 漏斗型は $R^2=1$: $R^2=1$ なら残差はすべて0で、水平線に重なります。漏斗はその反対です。
残差プロットの3パターン
- 一定幅で無パターン: 仮定に大きな矛盾は見えにくい
- 漏斗型: 等分散の疑い
- 曲線型: 線形性の疑い(次問008)
したがって、適合値が大きいほど残差の散らばりが広がり、等分散性の仮定が疑わしい、が最も適切です。
漏斗を見逃すと何が起きるか
適合値75付近の残差は±20、適合値20付近は±2程度です。同じ「直線からのズレ」でも、売上が大きい日ほど予測が当たりにくい、という構造です。通常のt検定の標準誤差は分散一定を使うため、大きい側の不確かさを過小評価しがちです。残差の符号が交互なのは、0の上下に散っているだけで、それ自体は異常ではありません。
対比として、残差が二次曲線を描く場合は「直線では足りない」(008)、点が帯状に一定幅なら大きな矛盾は見えにくい、と3パターンをセットで覚えます。本図のプラス印は色以外の識別で、重なりがあっても点の位置が追えます。
2級の回帰では、残差プロットを「見て終わり」にせず、どの仮定(線形・等分散・独立)に対応するかを言葉で結びます。Q-Qは正規性用で本問の中心ではありません。まずは適合値方向に幅が変わるかを見てください。