箱ひげは分布の五数要約、ANOVAは平均差の検定です。両方を並べるときは、(1) 見た目のどの群がずれているか、(2) 検定が保証する命題の範囲、を分けます。
図のどこを見るか
箱の中の太線が中央値、箱の端がQ1とQ3です。A・B・Dは中央値が21〜23、箱もおおむね15〜30に重なっています。Cだけ中央値50、箱が44〜56と、他3群より上に完全にずれています。ひげも重なっていません。ANOVAが有意な主因は、このCのずれである可能性が高い、という探索的な読みは自然です。
Step 1: ANOVAが保証すること
$p=0.001$ は「4群平均がすべて等しい」を棄却します。言えるのは少なくとも1群が違う、までです。AとBが違うか、CとDだけか、は箱ひげだけでは確定せず、多重比較が必要です。
Step 2: 箱ひげでやりすぎないこと
箱のわずかなずれ(AとB)を「有意差」と読むのは、標本のばらつきと多重性を無視しています。またCが離れていることは外れ値1点ではなく、群全体の位置が違うように見えます。外れ値でANOVAが即座に無効、とは限りません(等分散の目視は箱の長さの比較で、CのIQRは他よりやや広い程度です)。
Step 3: 選択肢の検討
- すべて互いに異なる: A・B・Dは重なっており、全ペア差は図からも無理です。
- AとBが有意と確定: 箱の重なりが大きく、ANOVAもペアを特定しません。
- Cは外れ値でANOVA不可: Cは群として上にシフトしています。1点の外れ値ではありません。
- Cが母平均最大と確定: 見た目の候補ではありますが、多重比較なしの断定は行き過ぎです。
- ANOVA結論とCの位置は矛盾しない(ペアは別): 正しいです。整合の範囲を正しく限定しています。
図と検定の役割分担
箱ひげは「どの群が怪しいか」の見当、ANOVAは「均等モデルを棄却できるか」の総合検定です。見当を結論に昇格させるのが多重比較です。本問では昇格させないことが正解です。
シーの箱が他より上にある見た目は、少なくとも一群が異なるという結論と矛盾しません。それでもシーとエーが有意、と書くには対比較が要ります。統計検定二級では、図と検定を並べたとき過大解釈を避ける読みが問われます。エーとビーの箱のわずかなずれを有意差と確定してはいけません。
したがって、ANOVAの「少なくとも1群が異なる」とCの箱が上にある見た目は矛盾しない(ペアの断定は別)、が最も適切です。
箱の重なりと平均の検定
A・B・Dの箱はIQRが重なり、中央値も21〜23と近いです。Cだけ箱全体が40台〜60台にあり、見た目の主因はCです。それでも「CとAが有意」「CとBが有意」と書くには、対比較の臨界値と家族ごとの過誤率が要ります。ANOVAの$p=0.001$は4群同時の包括検定で、ペアのパスポートではありません。
箱ひげは中央値と四分位で、ANOVAは平均です。歪みが強いと両者の印象がずれますが、本図のCは位置そのものがずれており、平均差の方向とも矛盾しにくいです。Cの箱が長いことは、C内のばらつきがやや大きい可能性を示し、等分散仮定の目視になります。極端な1点がひげの外にないので、「外れ値1つでANOVA崩壊」とは読みません。
総合演習側では、箱ひげ+ANOVAで「どの群差かは未確定」を統合問題として再出します。本問はその部品として、過大解釈を避ける読みを固定します。