青の統計学-DS Playground-

総合演習

統計学基礎の他セクションを横断した総合問題

変動係数でばらつきを比較する レベル1

食品工場で2工程の内容量を比較する。工程Pは平均48.0 g、標本標準偏差7.2 g、工程Qは平均120.0 g、標本標準偏差12.0 gであった。相対的なばらつきが大きい工程の変動係数を求めよ。小数第2位まで求めよ(小数第3位を四捨五入すること)。

解説

変動係数でばらつきを比較する

分野: 基礎統計

平均水準が異なる工程のばらつきを、標準偏差そのものではなく変動係数で比較する計算問題です。標準偏差は単位を持つ絶対的な散らばり、変動係数は平均で割った相対的な散らばりです。

1. 変動係数の定義

$CV = \dfrac{s}{\bar{x}}$

ここで $s$ は標本標準偏差、$\bar{x}$ は標本平均です。平均が正であることが前提です。百分率で表す流儀もありますが、本問は小数で答えます。

2. 工程Pの変動係数

$CV_P = 7.2 / 48.0 = 0.15$

3. 工程Qの変動係数

$CV_Q = 12.0 / 120.0 = 0.10$

4. 比較と解釈

標準偏差だけ見ると Q の 12.0 g の方が P の 7.2 g より大きいです。しかし Q の平均は 2.5 倍大きいので、相対ばらつきは P の方が大きい(0.15 > 0.10)です。品質管理では「平均に対して何割ぶれるか」が工程能力の比較に直結します。

5. 丸め

0.15 は小数第2位まででぴったりです。指定は小数第2位なので、隣の丸め値 0.14 や 0.16 は不正解です。

平均が違うときはCV、単位が同じで平均が近いときはSD

グラム同士でも平均が大きく違うと比較対象が変わります。負の平均や0付近の平均ではCVは使いません。

変動係数は無次元なので、g と mL のように単位が違う系列の相対ばらつき比較にも使えます。ただし分布が極端に歪んでいる場合は、中央値と四分位範囲に基づく相対指標を補助的に見ると安全です。

6. なぜ標準偏差だけでは誤るか

工程Qの12.0 gはPの7.2 gより大きいので、「Qの方がばらつく」と報告書に書く人がいます。しかし内容量の公称が違う製品を同じグラムで比べると、大きい製品ほど絶対誤差も大きくなりがちです。相対ばらつき0.15対0.10は、Pでは平均の15%、Qでは10%が1標準偏差に相当する、という意味です。規格が±10%なら、Pは規格に対して余裕が小さく、Qは相対的に安定、という工程能力の議論に進めます。単位をmgに直してもCVは不変です。これが無次元であることの実務的利点です。

平均が0に近い差分データや、符号が混在する変化率にはCVを使いません。そのときは絶対的なSDか、中央値を分母にした頑健版を検討します。本問の重量は正値なので定義どおり使えます。百分率で15%と答えても、問題が小数指定のため0.15に直します。

検算は割り算が約分できるかを見るのが速いです。7.2/48=72/480=3/20=0.15、12/120=0.10。大小比較は0.15>0.10で終わります。報告書では「相対ばらつきはPが大きい(CV 0.15対0.10)。絶対ばらつきはQが大きい(SD 12 g対7.2 g)」と両方書くと、読み手の誤解を防げます。品質規格が相対か絶対かで、どちらの指標を主にするかが決まります。

最後に、比較の目的を一文で固定します。『どちらがグラム単位でぶれるか』ならSD、『どちらが公称に対して相対的にぶれるか』ならCVです。本問は後者です。平均48 gと120 gを同じ土俵でSD比較すると、大きい工程が不利に見えます。相対化して初めて工程Pの管理優先度が上がります。負値や平均0付近ではこの議論自体が成り立たない、と適用限界も添えてください。

答え0.15は工程PのCVです。Qの0.10を誤って出すのは、相対ではなく絶対SDの大きい方を選んだあとにCVを計算し直していない、または大小を逆にした誤りです。指定は小数第2位なので0.15ちょうどです。平均が正の比例尺度でのみCVを使う、という適用条件も忘れないでください。

したがって、相対ばらつきが大きい工程Pの変動係数は 0.15 です。

問題 2/20
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