独立2群の通常の95%CIでは、非重複は5%水準での有意差を示す保守的な目安になる。一方、区間が重なることから非有意とは判断できない。判定には差そのもののCIまたは対応するp値を用いる。本問は、その先として差のCIとp値が図に与えられている点が要点です(基本の重なり誤読だけの問題とは役割が違います)。
図のどこを見るか
左パネル:Xは平均71、誤差棒66〜76。Yは64、59.5〜68.5。上端と下端が66〜68.5で重なります。右パネル:差7.0の水平誤差棒は0.8〜13.2で、0の破線の右側にあり0を含みません。p=0.028と書いてあります。
Step 1: なぜ群CIの重なりでは足りないか
各群の95%CIは、それぞれの平均の不確かさです。差の標準誤差は、独立なら $\sqrt{SE_X^2+SE_Y^2}$ で、各群CIの幅から単純に「重なったら差なし」とは対応しません。判定に使うべきは、差そのものの区間またはp値です。
Step 2: 差のCIとpの読み
差の95%CIが0を含まないことと、両側$p\lt 0.05$は(同じ前提の検定と区間なら)対応します。0.8〜13.2は正の側にあり、X−Y>0、つまりXの平均が高い方向です。$p=0.028<0.05$なので、有意水準5%では「差は0」を棄却できます。
Step 3: 選択肢の検討
- 重なるので有意でない: 基本誤読です。右図が反例になっています。
- 重なるので平均は等しいと証明: 有意でないことすら言えず、相等の証明にもなりません。
- 群CIは重なるが差のCIは0を含まずp=0.028: 正しいです。重なりを超えて差の推論をしています。
- pが小さいので因果: 観察された店舗差であり、無作為割付の有無は図にありません。有意≠因果です。
- 差が正なのでYが高い: X−Y=7>0 はXが高い方向です。
推論の階層
- 各群CIの重なり:目安にはなるが判定規則ではない
- 差のCIが0を含むか、対応するp値:差の有意性
- 研究デザイン:因果まで進めるかは別問題
二群の区間が重なっているので差は有意ではない、は基本の誤規則です。重なっているので母平均は等しいと証明された、も相等の証明になっていません。p値が小さいので因果効果がある、は研究デザインを飛ばした飛躍です。差の区間が正なのでYが高い、は符号の向きが逆です。群ごとの区間の重なりは判定規則にならない。判定は差そのものの区間が0を含むか、対応するp値に任せます。
したがって、群CIは重なるが差の95%CIは0を含まずp=0.028なので5%では差があると判断できる、が最も適切です。
差の区間が0を外れる意味
Xの半幅は $(76-66)/2=5$、Yは $(68.5-59.5)/2=4.5$ です。平均差は7。仮に独立でSEを二乗和なら、差のSEは各SEより大きく、群CIが少し重なっても差のCIが0を外れる余地があります。本図ではその結果が右パネルに直接描いてあります。p=0.028は両側5%で有意、1%では有意でない、という水準依存も読み取れます。
「重なったら差なし」は、各群CIを差の検定の代用にした誤規則です。独立2群の通常の95%CIでは、非重複は5%水準での有意差を示す保守的な目安になる一方、区間が重なることから非有意とは判断できません。判定は差のCIか、対応する検定のpに任せます。因果については、店舗が無作為に割り当てられた実験でなければ、客層・立地の交絡が残ります。本問の正解は有意性の判断までで、施策効果の証明までは含みません。
Guest向けの総合演習は重なり誤読そのものを扱います。こちらは差のCIとpが図にある上級編で、数値も店舗満足度という別シナリオです。図の再利用はしていません。