コレログラムは、時系列 $y_t$ と $k$ 期前 $y_{t-k}$ の標本相関を、ラグ$k$ごとに棒で示します。独立なホワイトノイズなら、標本ACFは0の周りに小さく揺れ、近似的に $\pm 1.96/\sqrt{n}$ に収まりやすい、というのが破線バンドの目安です。
図のどこを見るか
横軸はラグ(週)、縦軸は自己相関、オレンジの破線が±0.196です。$n=100$ なので $1.96/\sqrt{100}=0.196$ です。青い棒がラグ1で0.58、ラグ2で0.31とバンドを超え、ラグ3の0.14以降はバンド内に落ち、徐々に0へ減衰しています。
Step 1: 有意に見えるラグ
ラグ1と2はバンドの外なので、「自己相関0」という粗い目安では外れています。正の値なので、今週多いと来週も多め、という短期の持続です。ラグ3以降はバンド内で、大きな持続や12週の季節スパイクは見えません。
Step 2: 減衰パターン
0.58→0.31→0.14→0.06と単調に近い減衰は、低次の自己回帰(AR)が候補になる典型です(モデル同定は2級の読み取りでは「短期の正の系列相関」までで十分です)。
Step 3: 選択肢の検討
- すべて有意でランダム: ラグ1・2以外はバンド内です。ランダムなら大きなラグ1も出にくいです。
- ラグ1・2がバンドを超え減衰: 正しいです。図の棒と破線を直接読んだ記述です。
- ラグ12だけが季節: ラグ12の棒は0.01でバンド内です。季節の主張は図にありません。
- バンド内は0と証明: バンドは粗い目安で、「正確に0の証明」ではありません。検出力の問題もあります。
- 棒は残差平方和: 高さは標本自己相関(−1〜1)です。
バンドの使い方
破線は「独立ならほとんどの棒がこの中」という目安です。1本くらいバンドをわずかに超えることは偶然でも起きます。本図のようにラグ1・2が明確に超え、その後減衰する形は、系列相関のシグナルとして読みます。
すべてのラグで有意なのでランダム、は図と矛盾します。ラグ十二だけが季節でラグ一は無視、は小さな棒を季節の証拠と誤読しています。バンド内は自己相関が正確に零と証明された、は検出力を無視した言い過ぎです。棒の高さは残差平方和ではない、縦軸は標本自己相関です。統計検定二級の時系列では、コレログラムの短期の減衰を系列相関の示唆として読む問題が出ます。破線は独立ならほとんどの棒がこの中、という目安です。
したがって、ラグ1・2がバンドを超えその後減衰し、短期の正の自己相関が示唆される、が最も適切です。
ホワイトノイズの目安と持続
$n=100$ のバンド幅0.196は、独立なら標本ACFの約95%が収まる近似です。ラグ1の0.58はその約3倍で、偶然にしては大きすぎます。ラグ2の0.31も超え、ラグ3の0.14で内側に入ります。この「短い記憶」は、在庫や受注残が1〜2週残る、といった解釈と両立します。ラグ12が小さければ、年周の季節(週次なら約52)は本図の範囲外です。
バンド内を「自己相関ゼロの証明」と読むと、第2種の誤りを無視しています。弱い季節がn=100では検出不足、ということもあり得ます。本図で主張してよいのは、短期の正の自己相関が見える、までです。残差平方和は回帰診断の量で、コレログラムの縦軸ではありません。
回帰の残差に系列相関があると、通常の標準誤差は楽観的になり得ます。そのときもまず残差のコレログラムを見る、という流れが2級と接続します。本問は観測系列そのもののACFです。